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2009-09-25 10:42
(連載)北朝鮮の核問題を考える(1)
茂田 宏
元在イスラエル大使
9月18日、韓国の次期国防長官に内定している金泰栄合同参謀会議議長は、国会で「北朝鮮の核保有場所を確認しているのか」との質問に対し、「している」と答弁し、さらに「北朝鮮を核使用前に打撃することは可能か」との質問に対し、「韓米連合は十分な能力をもっている」と答弁した。金次期国防長官が何ゆえかかる答弁をしたのか、良く判らないが、この答弁は仮に内容として正しいにしても、なすべき答弁ではなかったと思われる。
第1に、北朝鮮はパキスタンと同じく自国の核の所在場所を隠匿している。これが知られているということになれば、当然それを移動し、隠匿しようとするからであり、これまで苦労して把握した隠匿場所が意味を失う可能性が高い。情報の世界では、何を知っているかを暴露することには慎重でなければならないのは常識で、北は今後どうしてそういう機密が漏れたのか、調査することになる。
第2に、北朝鮮やパキスタンのような国は、使用前に核兵器が無能力化されることを恐れる。所在場所を秘密にするのはそのためであるが、使用前に無能力化される恐れは、無能力化される前に核兵器を使おうという誘惑を核保有国、この場合には北朝鮮に惹き起こす。特に北は多くの核兵器を保有しているわけではないから、尚更である。したがってこの答弁は、核兵器使用の敷居を低める効果がある。北は先制不使用も言っていない。金答弁は抑止力強化に資さず、核使用の可能性を高める。(つづく)
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