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2009-09-04 09:58
(連載)自民党に明日はあるのか(2)
水野 勝康
特定社会保険労務士
自民党は半世紀以上続いていた一党優位を失い、下野することが決まった。国民は、一方で自民党に不満を持ち、政権交代を選択したが、他方で民主党に不安を感じていると言われる。私も率直に言って、民主党には期待しつつも、不安を感じている。民主党が「健全な与党」として政権運営していくためには、「健全な野党」が必要である。そして、「健全な野党」とは、単に与党を批判するだけの存在ではなく、政権運営に緊張感を持たせるため、政権交代可能な野党で無ければならない。自民党が批判するだけの野党になれば、再度の政権交代は遠ざかり、万年野党になり、与党である民主党がいつの間にかかつての自民党と変わらない政党になってしまうだろう。今後の日本政治は、自民党がどこまで「政権交代可能な健全な野党」になれるかということにかかっている。
それでは、野党に転落した自民党は、今後どのようなことになるのであろうか。まず頭に浮かぶのは、1993年の総選挙の後のように、離党者が続出するのではないかということである。自民党の議員は「国とのパイプ」を強調する者が多い。「野党では十分な仕事ができないから、与党に移る」という大義名分を掲げる。1993年の総選挙直後から自民党を離党して新生党などの当時のいわゆる「連立与党」に移る議員が続出した。この流れは村山内閣が発足して自民党が政権復帰するまで続いた。もし細川内閣や羽田内閣が2年、3年と続いていたら、更に離党者が続出することになったと思われる。自民党が政権復帰すると、今度は野党から自民党へ移る議員が多数出ている。
ただ、1993年当時は中選挙区制の時代であり、比例区での当選者も政党移動の制限はなかったのに対して、現在は小選挙区制であり、小選挙区で当選した自民党議員の多くの足元には比例復活した民主党議員がいる。仮に自民党を離党したとしても、民主党議員がいる以上、次の選挙で公認候補として立つのは難しい。比例復活の議員の場合、そもそも政党の移動が原則的に禁止されているので、自民党を離党して民主党へというわけにはいかない。民主党が308議席も取っている以上、衆議院で自民党からの離党者を受け入れる余地も、その必要もないように思われる。
もっとも、参議院では民主党は過半数を確保していない。参議院の比例区選出議員は衆議院と同じく政党移動は原則としてできないことになっているが、参議院の地方区選出議員は政党移動が可能である。もし自民党から離党者が出るとすれば、参議院の地方区選出議員になるのではなかろうか。いずれにせよ1993年の総選挙後のように、自民党から続々と離党者が出るというのは、現在の選挙制度では起こりえないと思われる。同様に、政界再編が起こる可能性も少ないと考えられる。確かに政策的には自民党も民主党も右から左までいる。しかし、民主党議員はこれから与党になるのである。かつての自民党と同じように政権維持のために少々のことは妥協するようになる可能性が高い。そうすると、民主党が分裂するということは考えにくい。民主党が分裂しなければ、自民党を飛び出しても政界再編は起きない。(つづく)
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