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2009-08-19 20:40
(連載)駐イラク米軍の撤退時期をめぐる動き (1)
茂田 宏
元在イスラエル大使
駐イラク米軍は、米・イラク安全保障協定上、2011年末までに完全撤退することになっている。その前の2010年8月までに戦闘部隊は撤退することになっている。イラク都市部よりの撤退は今年6月30日に完了し、いま米軍は都市郊外に駐留している。この撤退スケジュールに変化をもたらしかねない状況が最近2点出てきている。
第1に、イラク政府は、米・イラク安全保障協定の是非を問う国民投票を、来年1月16日のイラクの総選挙に合わせて行う法案を、8月17日に決定した。この国民投票で、米・イラク安全保障協定が拒否された場合、米軍はその1年後、2011年1月には完全撤退しなければならないことになる。
米・イラク安全保障協定のイラク議会通過に際し、議会は今年7月までにこの協定を国民投票にかけることを条件としていた。しかしその後、7月までに国民投票は行われず、この国民投票の規則を作る動きもなかった。それでこの国民投票はもう行われないものと考えられていた。今回マリキ政権がこの国民投票の実施問題を再提起した理由は良く判らないが、1月の総選挙を狙って、イラク民族主義に訴えることをマリキが有利と考えたのではないか、と推測されている。
細かい点を捨象して大雑把に言うと、クルドとスン二派は米軍撤退を急ぐべきではないとしているが、シーア派はマリキを含め、早期米軍撤退を許容しうるとしている。国民投票が行われるか否か、行われたとしてその結果がどうなるか、はまだ不確実であるが、米軍の都市部よりの撤退をイラクにとっての『勝利』と宣伝したマリキが、国民投票実施を推進する蓋然性は高い。(つづく)
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