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2009-06-15 18:43
(連載)アジア太平洋三極主義外交の推進(1)
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
アジアにおいて、1997年の通貨危機、経済危機の苦い経験を背景として、域内における地域協力を推進しようとする大きな流れが動いている。欧州においてEUが結成され、現在27カ国の構成国となっている。米州においては米・加・メキシコによってNAFTAが結成されているが、中南米全体をも包含する地域組織の形成に繋げたいとの動きがみられる。この様な他地域における動きに刺激されて97年の経済危機以降、「アジアにはアジアの地域的協力の仕組みがあって然るべし」との考えに基づく願望が生まれているといえるであろう。
ASEAN+3(日・中・韓)やASEAN+3+3(インド・オーストラリア・ニュージーランド)といった地域的協力の仕組みが着実な歩みをとげていることは、東アジア共同体の形成を目指す長期的な構想につながる動きとして十分な認識を必要としている。
他方、地域統合への強い願望と相並んで、現実の政策としては自由貿易協定(FTA)の締結による経済連携が活発に進められている、ことに留意しておくべきである。この様な情勢を背景として最近、日本国際問題研究所とロンドンのIISSが東京で共催したアジア問題をテーマとする会議において、三極主義(trilateralism)を強調する議論が、米国の論者から登場したのは興味深いことであった。例えばわが国の最近の外交政策の展開を仔細に検討すると、所謂三極主義を重視する外交活動が目立っている。
昨年12月日本が福岡の太宰府で主催した日本、中国及び韓国の三国首脳会議が先ず念頭に浮かぶ。日本は北東アジア三国首脳会議の開催を長らく推進してきたが、これまではASEAN首脳会議の機会に朝食会等の形で顔会わせをする様な状態で、いってみればASEANの庇を借りての顔合わせといった状態が数年間続いていた。わが国としては朝鮮半島情勢を含む北東アジアの安定をはかる為の三国首脳間の話し合いの場を持つ事を求め続けて来た経緯があるが、今回それが初めて実現したことの意義は大きく、本年は中国を主催国として開催される事が予定されている。(つづく)
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