外交円卓懇談会
第41回外交円卓懇談会
「中東における日・エジプト・パートナーシップ」(メモ)
第41回外交円卓懇談会は、ワリード・マハムード・アブデルナーセル駐日エジプト大使を報告者に迎え、「中東における日・エジプト・パートナーシップ」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。
1.日 時:2008年9月17日(水)午後3時より午後4時半まで
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.テーマ:「中東における日・エジプト・パートナーシップ」
4.報告者:ワリード・マハムード・アブデルナーセル 駐日エジプト大使
5.出席者:14名
6.報告者講話概要
ワリード・マハムード・アブデルナーセル駐日エジプト大使の講話概要は次の通り。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、議論についてはオフレコを前提としている当懇談会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。
日本とエジプトは長年にわたり密接な関係を構築してきた。両国間の交流は 1862年の遣欧使節団によるエジプト訪問にまで遡り、20世紀初頭には日露戦争における日本の勝利を受け、エジプト人は日本人に対して心からの共感を抱いた。1936年に日本はカイロに公使館を設置(1954年には大使館に昇格)し、それ以来、第二次世界大戦前後の一時的な中断を除いて、良好な外交関係を維持している。両国関係は政治分野にとどまらず、経済・文化分野にまで及んでいる。例えば1957年には文化協定を締結し、昨年その50周年を迎えたが、1988年に建設されたカイロ・オペラハウスなどはその交流の証しである。また、今年は『日・エジプト科学技術年』であるが、科学技術分野でも協力関係が進展しており、日・エジプト科学技術大学のオープンを目指して努力を続けている。これが完成すれば、日本にとっても初めて海外で設立する大学になる。日本政府は1974年にスエズ運河の拡幅増深事業に対する支援を行い、それ以来、数多くの巨大プロジェクトに貢献している。エジプトとしては、今後、日本企業による投資促進と日本人観光客の増加に向けて更なる取り組みを進めていきたいと考えている。他方、政治分野においては、2年前から両国間で戦略的対話のメカニズムが作られている。エジプトでは、戦後の経済復興を成し遂げてG8のメンバーにまでなった日本を『サクセス・ストーリー』のモデルだと考えている。日本は、対パレスチナ支援なども含め、中東地域の平和、安全、安定の実現に向けて数多くの貢献を行っており、西欧諸国と比べてもより進んだ立場にあると言える。中東和平の道のりは決して平坦とは言えないが、エジプトも一層積極的に仲介努力を行っていきたい。また、日本はイラクにおいて、自衛隊に加えJICAによる復興支援なども積極的に行っている。この他にも、アフガニスタンの復興支援やTICADを通じたアフリカに対する開発支援など、日本はこれらの地域で非常に重要な役割を果たしている。さらに、世界全体には核拡散や軍縮などの重要課題も存在している。こうした問題に対処していく上で国際社会は『文明間の対話』を必要としており、日本がその歴史的経験を活かした貢献を行うことへの期待は高い。
(文責、在事務局)