国際対話

日・ASEAN対話

「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」

対話のようす

 今日、アジア太平洋地域は、中国をはじめとする新興国の台頭によって変革期を迎えています。この状況に適切に対処しつつ、自由で開かれたルール基盤の国際秩序を維持・発展させていくことが、我が国にとって最も重要な外交・安全保障上の目標となっています。現在、トランプ政権下の米国はきわめて不透明な外交政策を展開していますが、そのような状況にあって、今後ともこの地域の平和と繁栄を維持していくためには、日米同盟を有効に機能させ続けるとともに、多国間のさまざまな協力をより一層拡充させ、「日米同盟プラスα」のネットワーク構築を図っていく必要があります。なかでもASEANの戦略的重要性はますます高まりつつあり、ASEANを日本に、そして日米同盟にどこまで引きつけることができるかが今、改めて問われているといえます。

 このような問題意識を踏まえ2017年6月30日(金)東京において、グローバル・フォーラムは、シンガポール南洋理工大学S.ラジャラトナム国際関係学院(Nanyang Technological University)およびベトナム国家大学人文社会科学院(Vietnam National University)との共催により、日・ASEAN対話「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」を開催いたしました。

 本対話は、セッションⅠ「変容するアジア太平洋地域の国際環境」、セッションⅡ「アジア太平洋地域における日・ASEAN協力の可能性をさぐる」を通じて、、アジア太平洋地域の現状と今後、およびその中で日本とASEAN各国がどのように協力していくべきなのかについて、日本およびASEAN各国よりそれぞれ第一線の有識者が一堂に会し、縦横に議論を交わしました。

【日本側パネリスト】

【開幕挨拶】伊藤 憲一グローバル・フォーラム代表世話人
【前半議長】神谷 万丈防衛大学校教授
【パネリスト】中西  寛京都大学教授
【パネリスト】加藤 洋一日本再建イニシアティブ研究主幹
【パネリスト】細谷 雄一慶応義塾大学教授
【後半議長】橋本  宏グローバル・フォーラム執行世話人
【パネリスト】大庭 三枝東京理科大学教授
【パネリスト】佐橋  亮神奈川大学准教授
【パネリスト】佐藤 考一桜美林大学リベラルアーツ学群教授

プログラム記載順

【ASEANからのパネリスト】

【パネリスト】タン・シー・セン南洋理工大学S.ラジャラトナム国際関係研究所教授(シンガポール)
【パネリスト】トーマス・ベンジャミン・ダニエルマレーシア戦略国際問題研究所研究員(マレーシア)
【パネリスト】ブイ・タン・ナムベトナム国家大学人文社会科学院准教授(ベトナム)
【パネリスト】アイース・ジンダルサインドネシア戦略国際問題研究所研究員(インドネシア)
【パネリスト】カヴィ・チョンキッタヴォーンタイ安全保障国際問題研究所シニア・フェロー(タイ)

プログラム記載順



「日・ASEAN対話(2017)」会議資料

 日・ASEAN対話「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」では、報告を行った日米のパネリストの方々にご用意頂いた会議資料が、当日出席者に配布されました。

 当日の会議資料は、PDF形式にて公開しておりますので下記ボタンからご覧下さい。

「日・ASEAN対話(2017)」報告書

      

 グローバル・フォーラム事務局は、当日行われた日・ASEAN対話「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」においてのすべての議論をまとめた報告書をPDF形式にて発行いたしました。全文は下部、報告書ボタンからご覧頂くことが可能です。




 開幕挨拶では、グローバル・フォーラムの伊藤憲一代表世話人より対話を共催したシンガポール南洋理工大学S.ラジャラトナム国際関係学院およびベトナム国家大学人文社会科学院、そして各国のパネリスト各位に対し謝意が表されました。また、地域秩序の発展のためには日米同盟を軸に多国間のネットワークをより一層拡充していくことの必要性を説く伊藤代表世話人は、ASEANの戦略的重要性は高まるばかりだとし、ASEANを日本に惹きつけるにはどうしていくべきかについて問題提起しました。

トーマス・ベンジャミン・ダニエル 今回の対話では、ASEAN諸国から招待されたパネリスト諸兄から、自国の国内事情やASEANの抱える地域的な課題、共同体としてのASEANの展望についての報告のみならず、ASEANの構成国それぞれが日本とは異なる対米・対中認識や姿勢を有することを示す発言が多く見られました。

 マレーシアのトーマス・ベンジャミン・ダニエル戦略国際問題研究所研究員は、アジア太平洋地域の秩序を決定づける大国として既存の仕組みを維持したいアメリカと地域のルールに影響を及ぼしたい中国を挙げ、これらがアジア太平洋地域でどのような役割を果たすのか注視したいと述べました。他方、同研究員が、アメリカが減じつつある存在感のギャップを埋め得る中堅国としてオーストラリア、インド、インドネシアなどと共に日本を列挙したことは、自国を地域大国と認識する日本の出席者に少なからず動揺を与えました。

大庭三枝 日本の有識者からは、トランプ政権下のアメリカがどのように行動するのかや、アジア太平洋地域で台頭する中国を前にした日本とASEANの協力のあり方、日本がアジア太平洋地域の発展をASEANとどのように推し進めていくべきかといった点を中心に多面的な報告がなされました。

 大庭三枝東京理科大学教授は、日本とASEAN諸国の間に存在する地域情勢についての認識ギャップに警鐘を鳴らしました。日本がASEANについて対中戦略を念頭に地政学的側面を強く意識する一方で、ASEAN諸国では民主主義と人権などのASEAN内部の危機が高まっていると述べ、日本のASEANに対するアプローチの現状について疑問を投げかけました。その上で、日本とASEAN諸国は経済や安全保障での協力にとどまらず広い観点で地域ビジョンを見直すべきであると提案しました。

集合写真 上記以外にも、様々な立場からパネリストが報告を行い、侃々諤々と意見を戦わせました。また、本対話の特徴とも言える各セッションに設けられた自由討議の時間には、高い発言意欲を持った出席者諸氏も議論に加わり自由闊達な討論が行われました。

 全体の議論やパネリストの詳細等については報告書に詳しく記載されております。報告書は下記ボタンからPDF版をご覧頂けます。




報告書全文は、PDF形式にて下記ボタンからご覧になることができます。

「日・ASEAN対話「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」(2017)メモ

本対話のメモは現在掲載されておりません。

ダイジェスト動画 日・ASEAN対話「変容するアジア太平洋地域秩序と日・ASEAN協力」(2017)