国際対話

日中対話

「少子高齢化時代の日中協力のあり方」

対話のようす

 現在の日中関係は、一時の首脳レベルの対話が停止した状態から比べるとはるかに関係が改善されていますが、国際社会の秩序と繁栄をともに担うような責任ある関係には程遠いのが現状です。しかしながら、国際社会、特にアジアにおいては、多くの地球規模課題が顕在化しており、日中両国の協力がますます求められるようになっています。その中でも特に重要なのが、少子高齢化社会における持続可能な発展に向けた協力です。日本では、歴史上例をみない急速なペースで少子高齢化が進展することで社会保障費が増大し、社会全体の停滞がみられつつあります。一方中国でも、一人っ子政策の影響などによる高齢化の進展で労働力が落ち、2010年以降急速に経済成長率が低下し、一人当たりの所得水準が高まる前に高齢化が進む「未富先老」社会の到来が懸念されています。ただこうした中において、日中間においては、リハビリなどの医療産業分野における貿易投資が拡大しはじめるなど、新たな関係拡大に向けた動きも随所にみられはじめています。

 このような問題意識を踏まえ2017年2月20日(月)東京において、グローバル・フォーラムは、東アジア共同体評議会、上海外国語大学日本文化経済学院、上海社会科学院日本研究センターおよび復旦大学国際関係与公共事務学院との共催により、日中対話「少子高齢化時代の日中協力のあり方」を開催いたしました。

 本「対話」は、第1セッション「少子高齢化時代の持続可能な発展に向けて」では、少子高齢化社会に対応するための各種の方策とともに、持続可能な発展に向けて日中がどのような協力をすべきなのかについて、続く第2セッション「日中関係の安定化と信頼醸成に向けて」では、上記の協力を進める上に必須となる安定的な日中関係をどのように構築するのかについて、日中それぞれの第一線の有識者が一堂に会し、縦横に議論を交わしました。

【日本側パネリスト】

【開幕挨拶】島田 晴雄グローバル・フォーラム執行世話人
【前半議長】高原 明生東京大学教授/東アジア共同体評議会副議長
【パネリスト】関  志雄野村資本市場研究所シニアフェロー
【パネリスト】大泉啓一郎日本総合研究所上席主任研究員
【パネリスト】佐藤 安信東京大学教授
【パネリスト】渡辺  剛杏林大学准教授
【パネリスト】石垣 泰司東アジア共同体評議会議長

プログラム登場順

【米国側パネリスト】

【パネリスト】馬  利中上海大学東アジア研究センター所長
【パネリスト】陳  友駿上海国際問題研究院アジア太平洋研究センター副研究員
【後半議長】廉  德瑰上海外国語大学日本文化経済学院教授
【パネリスト】包  霞琴復旦大学国際関係与公共事務学院教授
【パネリスト】金  永明上海社会科学院日本研究センター教授

プログラム登場順



「日中対話」会議資料

 「日中対話:少子高齢化時代の日中協力のあり方」では、報告を行った日米のパネリストの方々がご用意くださりました会議資料が、当日出席者に配布されました。

 当日の会議資料は、PDF形式にて公開しておりますので下記ボタンからご覧下さい。

「日中対話」報告書

 開幕冒頭、外務省より四方敬之大洋州局参事官が挨拶に登壇され、時々の政治的情勢に左右されない知的交流の場としての本対話は日中関係の構築に重要な一翼を担っているとその意義を強調しました。

対話のようす1 セッションⅠ冒頭、馬利中上海大学東アジア研究センター所長は、中国社会が日本と同様にかつてない急速な高齢化に直面し、政府が高齢者市場の振興に乗り出している現状を説明しました。日本政府がこの分野を負債ととらえず「成長戦略」に据えて進展を後押ししていることに注目する馬氏は日本からノウハウや資本を取り入れていく必要性を訴え、日中のビジネス分野での連携の強化に期待を寄せました。

 それに対して、大泉啓一郎日本総合研究所上席主任研究員は、日本政府が手厚い社会保障制度を構築した結果世界一の政府債務国に陥ったことを挙げ、社会保障の仕組みが出来上がっていない中国は日本と協力して持続的な社会保障制度の在り方を研究すべきだと提案しました。

対話のようす2 セッションⅡでは、広範な日中関係の諸問題について議論が交わされました。包霞琴復旦大学国際関係与公共事務学院教授は日中の間では協力の前提になる信頼関係が崩壊していると指摘しました。中国国内では日中間の暗黙の了解を破って日本政府が現状を変更し尖閣諸島を国有化したことが領土問題がコントロールを失った発端であると考えられていると包氏は述べ、日中間の基本的な認識の差異について厳しい見解を示し、両国間の信頼関係を再構築する意義を強く訴えました。

 その後も、様々な立場からパネリストが報告を行い、侃々諤々と意見を戦わせました。また、本対話の特徴とも言える各セッションに設けられた自由討議の時間には、高い発言意欲を持った出席者諸氏も議論に加わり自由闊達な討論が行われました。

 全体の議論やパネリストの詳細等については報告書に詳しく記載されておりますとともに、その一部が動画として公開されておりますので、ご覧ください。




報告書全文は、PDF形式にて下記ボタンからご覧になることができます。

本対話のメモは現在掲載されておりません。

ダイジェスト動画「日中対話(2017)」

※本動画は、本対話の共催団体である東アジア共同体評議会が製作し、同ホームページ上で
公開しているものです。