国際対話
世界との対話
「ウクライナ危機後の欧州・アジア太平洋国際秩序と日本」
2014年2月のロシアによるクリミア併合に端を発するいわゆる「ウクライナ危機」は、冷戦後の欧州のみならず、アジア太平洋を含む国際秩序全体に少なからぬ影響を及ぼしています。この「危機」を、第二次大戦後の国際社会の根本規範である「力による現状変更の禁止」への重大な挑戦とみる欧米諸国は、一方で、1997年のNATO=ロシア基本文書の遵守を踏まえ、ロシアを決定的に追い込むことを慎重に避けながら、他方で、ロシアに対する経済制裁やNATOの集団防衛機能の強化等を通じて、ロシアにその態度の是正を迫っています。その対立の構図は、あたかも「新冷戦」ともいうべき様相を呈しています。今日、国際社会における「ルール・オブ・ザ・ゲーム」は、重大な岐路に直面しているといっても過言ではありません。日本としても、改めて「ウクライナ危機」の投げかける問題の本質を見極め、世界各国とのより一層の緊密な戦略的パートナーシップを強化しつつ、世界および地域の平和と安定に向けた取り組みを一層深化させる必要があるといえます。
このような問題意識を踏まえ2016年11月25日(金)東京において、グローバル・フォーラムは、公益財団法人日本国際フォーラム、ウクライナ世界政策研究所、米国大西洋協議会との共催で、『世界との対話「ウクライナ危機後の欧州・アジア太平洋国際秩序と日本」』を開催いたしました。
本「対話」は、第1セッション「欧州からみたウクライナ危機」、第2セッション「ウクライナ危機がアジア太平洋地域へ及ぼした影響」、総括セッション「欧州とアジア太平洋の安全保障リンケージおよび日本外交への示唆」の3つのセッションを通じて、ウクライナ危機およびその国際的影響等について、日本、アジア太平洋および欧州それぞれの第一線の有識者が一堂に会し、縦横に議論を交わしました。
【日本側パネリスト】
【開幕挨拶】 | 伊藤 憲一 | グローバル・フォーラム代表世話人 |
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【前半議長】 | 六鹿 茂夫 | 静岡県立大学教授 |
【後半議長】 | 伊藤 剛 | 明治大学教授 |
斎藤 元秀 | 中央大学政策文化総合研究所客員研究員 | |
末澤 恵美 | 平成国際大学准教授 | |
濱本 良一 | 国際教養大学教授 |
名字五十音順
【海外パネリスト】
【ドイツ】 | イエルク・フォルブリック | ジャーマン・マーシャル基金上級環大西洋研究員 |
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【ロシア】 | ダリヤ・ハスペコヴァ | ロシア外交問題評議会研究員 |
【ウクライナ】 | レオニード・リトラ | 世界政策研究所上級研究員 |
【アメリカ】 | ロバート・ニューリック | 大西洋協議会ブレント・スコウクロフト国際安全保障センター上級研究員 |
【中国】 | 潘 忠岐 | 復旦大学国際関係・公共行政学院教授 |
名字アルファベット順
「世界との対話」会議資料
世界との対話「ウクライナ危機後の欧州・アジア太平洋国際秩序と日本」では、報告を行った8人のパネリストの方々がご用意くださりました会議資料が、対話当日に出席者に配布されました。
当日の会議資料は、PDF形式にて公開しておりますので下記ボタンからご覧下さい。
「世界との対話」報告書
グローバル・フォーラム事務局は、当日行われた世界との対話「ウクライナ危機後の欧州・アジア太平洋国際秩序と日本」においてのすべての議論をまとめた報告書を作成しました。
開幕挨拶では、伊藤憲一グローバル・フォーラム代表世話人より対話を共催した米国大西洋協議会及び世界政策研究所、そして世界各国より参加したパネリスト各位に対し謝意が表されました。
対話冒頭では、ウクライナを代表してレオニード・リトラウクライナ世界政策研究所上級研究員が最初の報告を行いロシアによるクリミア併合を「侵略」と表現するなど強い危機感を表明すると、続いて末澤恵美平成国際大学准教授がウクライナ危機に至る歴史的経緯からウクライナの課題と日欧の関わり方へのアプローチがなされました。
それに対して、ダリア・ハスペコヴァロシア外交問題評議会研究員は、ウクライナ危機がプーチン政権の野心によって引き起こされたわけではないという見方を示すとともに、冷戦終結後の西側諸国と東側諸国がお互いを信頼していなかったことがその要因であり、ロシアでは欧米への不信感が募っていることを指摘しました。そして、民間交流を続けるべきであると提起し、ロシアと欧米の分断が続くことへの懸念を示しました。
その後も、様々な立場からパネリストが報告を行い、侃々諤々と意見を戦わせました。また、本対話の特徴とも言える各セッションに設けられた自由討議の時間には、高い発言意欲を持った出席者諸氏も議論に加わり自由闊達な討論が行われました。
全体の議論やパネリストの詳細等については報告書に詳しく記載されておりますとともに、その一部が動画として公開されておりますので、ご覧ください。
報告書全文は、PDF形式にて下記ボタンからご覧になることができます。
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