国際対話

日米対話

「激動の世界と進化する日米同盟:

開かれたルール基盤の国際秩序存続のために」

対話のようす

 2015年は、日米同盟にとって画期的な転換点となった年であったといえます。4月には日米間で新たな「ガイドライン」が合意され、それに伴い今後の日米同盟は「地域、グローバル、宇宙、サイバー」といった新たな戦略的領域において、切れ目のない(シームレスな)抑止力・対処力の強化を目指すことになりました。そして、9月には日本で集団的自衛権行使の一部容認などを含む安保関連法制が成立し、日本の安全保障政策は「積極的平和主義」のより具体的な実現に向けて新たな一歩を踏み出すこととなりました。

 このように一段の進化を遂げた日米同盟ですが、もとよりこの背景には、東アジアをはじめ国際社会の地政学上の大きな地殻変動があります。東アジアでは、中国が南シナ海・東シナ海などで強硬な海洋進出を行うなど、既存の「自由で、開かれた、ルールを基盤とした国際秩序」への挑戦ともいうべき行動を重ねています。また北朝鮮が、本年1月に核実験、2月には弾道ミサイル発射を強行し、国際社会の非難を招いたことは記憶に新しいところです。中東では、IS(イスラミック・ステート)の勢力拡大やシリア情勢の混迷化が進み、その余波は、昨秋のパリでの同時テロ事件に示されるように、欧州にまで及んでいます。このような国際社会の動乱を前にして、「今後、国際公共財としての日米同盟はいかなる役割を果たすべきか」が改めて問われています。

 このような問題意識にもとづいて2016年3月2日(水)東京において、グローバル・フォーラムは、米国防大学国家戦略研究所(Institute of National Strategic Studies)および公益財団法人日本国際フォーラムとの共催で、『日米対話「激動の世界と進化する日米同盟:開かれたルール基盤の国際秩序存続のために」』を開催いたしました。

 本「対話」は、セッションⅠでは「新ガイドラインと新安保法制の下での日米同盟の使命」と題し、新段階を迎えた日米同盟が、今後、国際社会に対して果たすべき役割は何かについて、またセッションⅡでは「何から始めるべきか」と題し、日米同盟の機能強化のために、日本と米国が今まず実行しなければならないことは何であるのかについて、日米の第一線の有識者が一堂に会し、縦横に議論を交わしました。

【日本側有識者】

【開幕挨拶】伊藤 憲一グローバル・フォーラム代表世話人
【パネリスト】加藤 洋一日本再建イニシアティブ研究主幹
【前半議長】神谷 万丈防衛大学校教授/日本国際フォーラム上席研究員
【パネリスト】高原 明生東京大学教授/日本国際フォーラム上席研究員
【パネリスト】中西  寛京都大学教授/グローバル・フォーラム有識者メンバー
【パネリスト】細谷 雄一慶應義塾大学教授
【パネリスト】渡部 恒雄東京財団政策研究ディレクター・上席研究員

名字五十音順

【米国側有識者】

【後半議長】ラスト・デミング元国務省首席次官補代理
【パネリスト】ロバート・マニングアトランティック・カウンシル上級研究員
【パネリスト】ジェームズ・ショフカーネギー国際平和財団上席研究員

名字アルファベット順



「日米対話」会議資料

 日米対話「激動の世界と進化する日米同盟:開かれたルール基盤の国際秩序存続のために」では、報告を行ったパネリストの方々にご用意して頂いた会議資料を、会場にて出席者の皆様に配布いたしました。

 当日の会議資料は、PDF形式にて公開しておりますので下記ボタンからご覧下さい。

「日米対話」報告書

 グローバル・フォーラム事務局は、当日行われた日米対話「激動の世界と進化する日米同盟:開かれたルール基盤の国際秩序存続のために」においてのすべての議論をまとめた報告書を作成しました。




 開幕挨拶では、伊藤憲一グローバル・フォーラム代表世話人より対話を共催したアメリカ国防大学国家戦略研究所と日米より参加したパネリスト各位に対し謝意が表されました。

 対話冒頭に、セッションⅠの議長を務める神谷万丈防衛大学校教授より、グローバル・フォーラムにてここ数年定期的に開催されている日米対話の意義や、その背景にある日米共同研究プロジェクト『積極的平和主義の時代の日米同盟』について説明がなされ、日米同盟の青写真を描いてきたプロジェクトが今や具体的に何をすべきかを考えられる段階に来たことへの手応えを語りました。続いて、最初の報告者である細谷雄一慶応義塾大学教授が第二次安倍政権下で成立した安保法制の総括を、イデオロギー対立の観点から説明し事態が紛糾した原因を詳細に分析するとともに、安保法制が施行されることで日米関係が円滑になることへの期待を示しました。

 米国側パネリストとして最初に登壇したロバート・マニングアトランティック・カウンシル・ブレント・スコウクロフト国際安全保障センター上級研究員は、日米同名が長期的に向き合う必要があるグローバル・トレンドについて報告を行い、その中の一つとして日中韓の高齢化と対照的に中東地域ではユースバルジ(若年人口の突出)が生じていることを挙げ人口動態から中国をインドが凌駕する可能性を示唆しました。

 その後も、様々な立場からパネリストが報告を行い、侃々諤々と意見を戦わせました。また、本対話の特徴とも言える各セッションに設けられた自由討議の時間には、高い発言意欲を持った出席者諸氏も議論に加わり自由闊達な討論が行われました。

 全体の議論やパネリストの詳細等については報告書に詳しく記載されておりますとともに、その一部が動画として公開されておりますので、ご覧ください。




報告書全文は、PDF形式にて下記ボタンからご覧になることができます。

「日米対話」メモ

本対話では、当日の議論を早期に膾炙することを目的として、概要をまとめたメモを報告書に先駆けて掲載しています。




メモ全文は、PDF形式にて下記ボタンからご覧になることができます。

ダイジェスト動画「日米対話」