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2009-02-26 09:41

「国債地獄」か「政府紙幣」か

岩國 哲人  衆議院議員
 国債発行残高は、昨年12月末で約682兆円、国債の利払費は、2007年度は8.6兆円、2008年度は9.3兆円である。今は超低金利のゼロ金利政策が継続されているからこそ、国債の年間利払額が10兆円前後で済んでいるが、これが通常の金利に復帰すると、利払費は増え、借金残高が増え、借金地獄への転落スピードが加速する。誰がいつ返済できるのか。円天通貨と同じことをいつまで続けるのか。私の持論であるが、国債を紙幣発行に変えて10兆円の利払い負担を軽減すれば、財政再建、社会保障充実にも使える貴重な「新財源」となる。「雪だるま国債」の「利払い地獄」から脱出するための唯一の方法ではないか。

 国境を越える通貨「ユーロ」が誕生して、「多国1通貨」が実現し、いわゆる「1国1通貨制」を絶対普遍の法則と思い込む必要はないし、中央銀行だけが紙幣発行を独占できるというのは、錯覚でしかない。例えば公共施設のための財源について考えてみよう。そもそも道路はローマ時代から、軍隊を運び、国を他国の侵略から守るためのもの。しかし、道路の役割は、国を守るためだけではない。基幹道路は災害時の人命を守るためにも必要だ。国を守り、人を守るのが、高速道路の何よりも大切な役割とすれば、それにふさわしい財源のあり方も議論すべきではないか。そこに「政府紙幣」という選択肢がある。通貨は日銀だけが発行するものではない。日本政府が直接に通貨を発行し、道路整備に充当することができる。政府紙幣であれば、当然金利コストはゼロで、返済も不要。日銀の紙幣と全く同様に流通し、納税者の負担にもならず、安定的に道路整備を進めることができる。

 そのように誰にも迷惑をかけない方法で建設し、国民の直接の永久資産として、誰もが無料で利用する。日本中自由に乗り放題。クルマが動き、ヒトが動き、モノが動いて、不景気になった国を見たことがない。動けば確実に税収が増える。それが生活革命であり、財政再建になり、環境対策や農業対策の財源も生まれてくる。これを「改革」と呼ぶ。50年前の日本は、世界銀行や米国の金融機関から借金し、高速道路を造り、その借り入れの条件として有料制で借金を返す仕組みが必要だった。50年後の日本は違う。個人金融資産が1400兆円もありながら、ゼロ金利政策でおカネを失業させ、おカネがタンスの中で寝たきり。金が足りないどころか、外国へ貸しているおカネが170兆円で、世界一のダントツの金貸し国になっている。

 このように、政府通貨発行で十分な財源を確保すれば、景気の回復は間違いない。景気回復が税収増をもたらせば、増税内閣どころか、国民待望の「減税内閣」が実現する。新しい通貨の発行は、景気の過熱やインフレを招くのではないか、と懸念する人があるかもしれないが、政府通貨も国債もその発行限度は国会などで厳しく審議されなければならないから、政府の直接のコントロール下にあるという点で共通しており、国債発行なら安心、政府紙幣発行ならインフレという議論には全く根拠がない。金利ゼロで銀行などに大量の資金を供給する超金融緩和策を何年も続けている最大の理由は、日銀が民間の金融機関にコスト・ゼロでカネを提供して、国債の受け皿を作ることである。これは日銀による国債の全額迂回引き受けであり、禁止されている日銀引き受けそのものではないか。
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