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2008-12-26 10:11

木下氏の「炭素循環について」にコメントする

小倉 正  アルバイト
 12月15、16日付けの木下博生氏の本欄への投稿「炭素循環について(1)、(2)」(770,772号)にコメントします。

 アル・ゴア氏が出演した映画「不都合な真実」の中でも、クレーンに乗って線グラフの推移を追うプレゼンテーションがありました。40万年ほどの期間にわたる氷期と間氷期の変動のギザギザのサイクルにおいて、気温の上昇や低下とCO2の大気中濃度の相関関係が非常に良く取れていたことはご記憶かと思います。今問題となっているのは、そのグラフ右端の、現在から過去200年間ほどの(一瞬の)間だけ、その相関関係が崩れて、一方的にCO2の大気中濃度が急上昇しているという点です。過去40万年間続いたこの相関関係が崩れた原因を、自然の気温変動に求めるのは、いわば筋が悪い考え方です。

 もっとタイムスケールを短くして、過去1000年間のCO2濃度の記録のグラフを見てみても、18世紀になるまでは大気中のCO2濃度は280ppm程度と極めて安定した値を示していました。この人為的な化石燃料の消費が進む以前には、大気中のCO2濃度に経年変化がなかったからには、当時の自然の海洋や陸上生態系における排出と吸収が地球全体としてバランスしていたことには間違いありません。

 ましてや、19世紀以降の人為的な化石燃料の消費量の統計は精度が高いわけですから、その大気中に排出したCO2の半分程度が毎年大気中に残留していること、つまり「自然」はその人為的に起きた変動の一部を吸収緩和してはいるものの、すべてを吸収できていないという因果関係には、何も理解に困難な点はありません。なお、将来の吸収の程度がどうなるのかを予測するために、詳細に地球の炭素循環を調べている、Global Carbon Projectという国際協力研究プロジェクトがあります。http://www.
globalcarbonproject.org/index.htm をご覧ください。ここのCarbon Budgetの研究報告書を読むと、納得がいくのではないかと思います。

 私のブログ『温暖化いろいろ』の記事「Global Carbon Projectからのオーマイガッな観測」
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/11482.html
の中でも、GCPの研究について紹介をしていますので、ご覧ください。特に海洋の吸収能力が、減少のトレンドを描き始めていることを紹介しています。これを将来に延長して考えると、そのうちに正のフィードバック効果も想定せざるをえなくなるでしょう。
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