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2008-10-17 22:21

(連載)今こそ「日本の政経手術を」(1)

岩國 哲人  衆議院議員
 米国発の金融危機は、欧州などの世界経済にも波及しており、輸出関連産業の業績悪化懸念が高まり、日本の株式市場は一年間に50%という世界最大の急落に見舞われて、景気の先行き不安が一挙に高まっている。株価下落を喜ぶ人は誰もいない。いないどころか、株価の下落は、株式を所有する企業、銀行、投資家のみならず、年金、保険などの一般国民の安心を奪い、不況による雇用削減で若い人の職場を奪い、「暮らしの大量破壊兵器」となってしまう。

 この未だかつてない強力な大量破壊兵器から日本経済と国民生活を守るための方策は、どの教科書にも書かれていない。異常な事態には異常な発想が必要だ。日本の経済と国民生活を守るためには、政治と経済の仕組みを変える、発想の大転換が必要ではないか。政治を変える、経済も変える、「日本の政経手術」である。私は、世界的な金融と経済の混乱の中で、構造的改革を伴う(1)転換国債発行、(2)政府紙幣発行、(3)企業の自社株買い、(4)高速道路無料化、(5)第二次農地開放、(6)「消えない年金」、(7)食料品減税、(8)軽老ではなく「敬老の時代」を、の8項目の緊急経済対策を提言したい。今回は、(1)、(2)について説明し、(3)~(6)については以前に紹介したので省略し、次回に(7)、(8)について説明したい。

(1)転換国債発行
 政府が保証し、国民が買い手となる価格保険付き転換国債を政府が発行する。言いかえれば、日本株式会社による自社株購入であり、アメリカ政府の不良債権買上げではなく、日本政府は優良株式の買上げで株式市場の安定化を図り、株価の下落を防ぐことで金融機関の経営劣化を防止する。政府が東証第一部上場株式時価総額300兆円の10%を市場から買い上げるという構想を発表するだけで、株式の売り注文は止まる。株式を買い上げ、保有する資金に税金は使わない。国債30兆円を発行して、銀行一年定期を上回る年利1%を支払い、一般国民から募集する。「国民的資金」の動員である。

 1%の利払いは、買い付けた組入株式の配当利回り2.5%を原資とする。期間は十年。期中、いつでも組入れ株式を対象とした投資信託に転換でき、値上がり益を享受できる。超慎重派の投資家も参加しやすいように、5年後に1回だけ行使できる「額面償還請求権」というオプションを付けた、価格保険付き転換国債である。30兆円の転換国債による株式買い上げは、即効性のある株式市場対策として、そして景気対策として、更にはカネの失業対策として、一石三鳥ではないだろうか。

(2)政府紙幣発行
 国債を紙幣発行に変えて10兆円の利払い負担を軽減すれば、財政再建、社会保障充実にも使える貴重な「新財源」となる。「雪だるま国債」の「利払い地獄」から脱出するための唯一の方法である。政府による紙幣直接発行はインフレを引き起こすという意見もあるが、もともと国債と同じく、発行額は国会の直接・間接のコントロール下にあるので、そのリスクを回避することは可能である。(つづく)
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