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2008-09-14 10:00

(連載)「サブプライムローン問題」再考(2)

池尾愛子  早稲田大学教授・デューク大学客員研究員
 アメリカのサブプライムローン問題処理は、まるで7月の洞爺湖サミット終了を待っていたかのように、その直後に急速に進められた。もちろん、借手の返済問題も大変深刻で、抵当住宅の処理などについては、州政府レベルで対応が議論され、実施に移されているようである。個人レベルでも、貸手に対する訴訟が準備され、始まっているようである。

 大統領選候補者たちは、対外政策を争点にすることは避けることに合意している、と報道されている。確かに論争は相違点を浮かび上がらせるものの、共通点、合意点については、一般聴衆(ましてや海外)に対して、曖昧で見えにくいものにしてしまう。7月のサミット直後には大統領候補の一人は、外遊で国内を留守にしていたのであるが、海外に影響の及ぶ金融問題の処理についても、大きな争点にはしない姿勢がみえる。現下の金融問題の処理についても、野党側候補者は支持の姿勢を示している。確かに、それほど事態は深刻であり、大胆な措置が必要なのである。しかし、すでにメディアでは、再び副大統領候補とハリケーンのほうに視線を向けている。

 アメリカ連邦政府がすべき金融改革には、今後も外圧が必要であるといってよいであろう。振り返れば、1907年の金融パニック以来のことになるであろう。その前100年ほどは、ニューヨークの銀行連合がイニシアチブを発揮していたとされるものの、中央銀行にあたるものがアメリカにはなかったのである。が、それにあたる連邦準備制度や同理事会が1913年に設立されていくことになる。その際、日本からは、桂太郎氏、阪谷芳郎氏、成瀬正恭氏が連名で、中央銀行設立の必要性を説く制度改革勧告をアメリカの金融制度調査委員会に提出していた。

 連銀制度は1929年の金融パニックとその伝播を食い止めることには失敗したが、その後は役割を果たしてきたといってよいのであろう。今回は、証券化・債券化(securitization)という新しい金融ツールが絡んでおり、これによりアメリカは住宅金融についても世界中から資金調達することが可能になったのである。しかし、地元にいる人たちに比べて遠方にいる人たちには、そのリスクと実態が見えにくいことが判明してきた。アメリカの金融制度の問題に対しては、日本からも積極的な指摘と改善勧告を見える形ですることが望まれると思う。(おわり)
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