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2008-06-19 10:28

ミャンマーへの災害救済支援を強化せよ

田島高志  東洋英和女学院大学大学院客員教授
 ミャンマーのサイクロン被害発生から早くも1か月半が過ぎた。死者約8万名、行方不明者約6万名、被害総額約1兆円と言われる。国連は、約240万人が被災し、約140万人が優先的に支援を必要すると推計し、農業分野の復興支援が重要との見解を5月半ばに発表した。日本政府はいち早く弔意を表明し、緊急援助物資を送付し、被害者数が増加するとともに緊急援助額も増大させ、国際緊急援助隊医療チームを派遣した。また、木村外務副大臣、次いで宇野外務大臣政務官が訪緬し、先方外務大臣、保健大臣、運輸大臣などと会談し、援助物資引き渡し式に出席した。さらに、被災地を訪問し、在留邦人を激励するとともに、52カ国参加の国際支援プレッジング会議に出席するなどの支援活動を行った。それに加え、日本赤十字社や多くのNGOなどの民間からの支援も相次いだ。NGOを含む日本からの支援総額は約1530万ドルと言われる(注:6月16日付外務省資料)。

 また、潘国連事務総長が訪緬し、タン・シュエSPDC議長及びテイン・セイン首相と会談するとともに、多くの国際機関も緊急支援を発表した。主要国は、米3510万ドル、英5500万ドル、EU2550万ドル、アセアン、中国各1500万ドル、豪州2500万ドルなど、それぞれ相当額の支援を表明・実施しており、その他の国々を含めると約60カ国が対ミャンマー緊急支援を発表し、実施を続けている(注:同上外務省資料)。

 日本は、今後も政府および民間ともに救済支援を継続するようであるが、ヤンゴン港の沈没船引き揚げや桟橋再建、医療支援、農業支援、寺子屋再建など救済支援のニーズは主要分野に限っても相当に大きいものと見込まれる。ミャンマーは、歴史的に日本の友好国であり、アセアンの一員でもある。他の主要国の緊急支援額と比較しても、日本が更に救済支援を強化する余地は大きい。国際社会からの経済制裁にあい、外国不信と歪んだ閉塞感を持つミャンマーに対し、国際社会の温かさを感じさせ、これを機会に今後の経済再建と民主化への友好的支援(ソフト面を含む)につなげるためにも、日本政府は明確な方針と決断をもって、救済支援の一層の強化に努めるべきであると思う。
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