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2007-11-12 17:12

地球にも配当を

岩國哲人  衆議院議員
 今から十年前の一九九七年、日本の京都において、京都議定書が策定されました。この京都議定書では、クリーン開発のメカニズム、排出量取引のメカニズム、共同実施のメカニズム、吸収源活動のメカニズムの四種が規定され、現在に至っています。それから十年。来年は日本の北海道の洞爺湖において、サミットの歴史上はじめて環境を主たるテーマとしたサミットが開催されます。環境問題は、先進国と発展途上国との間で調整を要する事項も多々ありますが、環境問題は人類共通のテーマであるという視点に立った枠組みだけではなく、新しい思想を確立してゆく必要があります。

 アメリカのバージニア大学の経営大学院の客員教授を引き受けて二十年、中国の南開大学の政治学部客員教授を引受けて十年、短い期間でしたが韓国の明知大学の客員教授も引受け、それぞれの国の学生に話してきました。とりわけバージニア大学は、アメリカの民主主義の祖と言われ、アメリカ独立宣言を起草した第三代目の大統領トーマス・ジェファソンが、バージニア州シャーロッツビルに創立した米国最古の大学という伝統を誇り、そのビジネス・スクールには世界各国の優秀な学生たちが集い、熱心に学んでいます。言わば、世界の次の時代を担う英才たちが集まり、議論を交わし、民主主義、資本主義、グローバリスムの精髄に触れ、そしてアメリカ、中国、日本、インド、東欧などそれぞれの国へ、希望に胸をふくらませて巣立ってゆくのです。
  
 二十一世紀の民主的資本主義社会のリーダーを育てるゆりかごの役割を果たしているシャーロッツビルのキャンパスで、私は近年の講義では、二十一世紀の経営理念というよりも新しい哲学が必要になっていることを学生たちに話しています。二十世紀までの資本主義では、優秀な経営者は三つの経営目標を持っていました。第一に良い製品やサービスを提供して顧客に喜ばれること、第二は、社員が安心して働ける職場を維持すること、そして第三に、株主にもできるだけ多くの配当を支払うこと、以上の三点でした。

 しかし、企業を支えているのは顧客と社員と株主の三者だけでしょうか。もう一人の最大の貢献者を忘れてきたのではないでしょうか。二十一世紀は、地球に「配当」(DIVIDEND)を支払うという視点を考慮することが必要ではないでしょうか。経済活動を初めとして、すべての人類の活動は、地球環境が正常であってこそ成り立つものだからです。地球は、一日二十四時間、一年三百六十五日、絶え間なく動き続け、私たちに食糧のみならず生きる幸せを与えてくれています。二十世紀までの資本主義の視点を変えて、私たちの生きる二十一世紀は、すべての企業活動も地球という最大のSTAKEHOLDER、SHAREHOLDERがあってこそ、ということを念頭に置く必要があります。これが私が主張する二十一世紀の経営者に必要な新しい哲学です。
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