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2024-09-18 17:35

(連載1)中国における定年年齢引き上げの意味する「不景気」

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 この時期というか、不定期ではあるが「選挙」の時期は、報道がどうしてもそちらの方になってしまうので、他のニュースの扱いが小さくなってしまう。つまり、本当に重要なニュースよりも、なぜか選挙の報道の方が大きくなってしまうだけではなく、新聞も雑誌も、また、テレビやラジオも、すべてその選挙になってしまう。ましてや、自民党の総裁選挙など「政党の中の選挙」は、公職選挙法という法律の範囲ではないので、何をやっても基本的には法律違反にはならない。もちろん「党規」には違反するのであるが、そのことで警察に捕まるようなことになることはないのである。そのように考えれば、かなり過激な手段を使うこともある。そのような事であるので、政治の記者にとってはそちらの方が面白いうことになってしまうのである。政治部の記者というのは、各メディアやマスコミの中では、一部の例外を除いて主流派であるということで、政治部がすべてそちらに行ってしまえば、マスコミ全体が動いてしまうということになるのだ。そのことから、そのほかの内容がおろそかになってしまうのである。
 
 本来は、総裁選も「外交」や「日本をどの様に導くか」ということが最も重要な内容になる。つまり、政治改革などではなく、外交や、経済政策ということが最も重要な内容であるはずだ。しかし、なぜか政治改革、特に直近のスキャンダルに関する内容ばかりを話しているのでは、おかしな話になってしまう。民主主義というのは、その国の民衆のレベルに合わせた政治しかできなくなってしまう。幕末の聴衆の志士、高杉晋作は船中八策の中に書かれた現在の国会にあたる内容を見て、「これは国民が馬鹿になったら国が亡ぶっていう政じゃないか。そんなものは認められない」と言って、議会正民主主義をすべて否定した。まあ、そのような内容ではないか。

 では今見るべきは何か。その中の一つがアメリカの大統領選挙で、また、ロシアとNATOの関係であり、また中国の南シナ海やインドへの進出である。そしてその裏打ちになる中国の経済であろう。中国は、これまで70年間不変であった定年年齢を、男性63歳、女性55歳に引き上げていくとのことである。これは日本でも行ってきているのであるが、日本の場合は、各々の企業が行っている。中国の場合は共産党が指導して法律としてそれを行っているということになる。ちなみに、中国では国民年金も国民健康保険もないのである。それなのに定年を国家が決め、そして法律や国家の制度としてその内容を見ているということになるのである。それなのにすべての制度を決めるのが中国共産党である。そこまで決めなければ何も動かない、それが中国共産党なのであろう。

 さて、このようにしなければならない理由は、二つある。一つは「労働人口が少ない」ということである。まさに、中国は少子化になりなおかつ、労働人口が少なくなってきている。そのうえ、多くの若者はネット環境に慣れてしまい、仕事を選り好みすることになる。肉体労働が必要なものなどは、若者が寄り付かず、一方、投資やネットビジネスのような「簡単にあぶく銭がもうかる」というようなものが、若者人気になってしまうという現状になるのである。もちろん投資やネットビジネスなどは、成功するかどうかもかなり難しく、そのことから失敗する人も少なくないということになる。そもそも若者はそのようなことを目指すが、しかし、大学卒業でも資金や資本金があるわけではないので、そのまま労働できるような人がいない。つまり、人握りの成功者と、数多くの失敗者とで別れてしまうということになるのである。このことは、そのまま「若者の、貧困化」を招くことになるが、その貧困化を招いても軍隊や肉体労働にはゆかず、犯罪者が増えてゆくということになる。(つづく)
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