国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2024-07-17 13:57

(連載1)じり貧の中国経済、好転は見込めず?

岡本 裕明 海外事業経営者
 中国がもがいています。気のせいかもしれませんが、習氏が3期目に入って以降、より精彩を欠いているように見えます。2022年10月の党大会直前、これで習氏は盤石の体制となり、身内にも敵は不在とされました。習氏は人事面において主導的な采配を行ってきていますが、自身の周りをYesmanで固めてしまったことで不都合な情報が入らなくなったばかりか、問題解決能力が欠如していることがより明白になったように見えます。その一つが指導部と国民との温度差です。国民は中国経済の大躍進と一種の消費ブームに沸きあがり、日本でも一時期、爆買いが話題になりました。また海外に不動産を求めるケースも多く、当時私の周りにも中国人のとてつもない金持ち、特に旦那が中国に残るも子供と一緒に住む奥様方がカナダで暇を持て余してブイブイ言わせていました。残念ながら英語のコミュニケーションがほとんどできないことで彼女たちはカナダにいても一部の中国人富裕層同士の非常に狭い世界で生活をしていたようです。そんな彼女たちも今はすっかりお見掛けすることはありません。

 あれを中国版バブル経済のピークだったと考えることも可能かもしれません。とすれば中国の今は日本でいう1990年代から2000年代初頭なのでしょうか?7月15日に発表になった中国の4-6月期GDPは4.7%成長で1-3月の5.3%から大幅ダウン、また事前予想も5.0-5.1%とみられていたのでかなり失望する内容となりました。特に個人消費が弱々しく、経済の基礎体力が相当弱っているとみて取れます。

 また、本来であれば中国統計局はGDPの発表に合わせ記者会見を開くのですが、今回はそれを取りやめています。数字が悪いからということもあるでしょうが、15日から4日間の日程で中国の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(三中総会、ないし三中全会)が開催されていることがあり、そこに水を差さないような配慮をしたのだとみています。

 中国の重要会議はわかりにくいのですが、党大会の後、一中全会、二中全会、三中全会と続きます。一中と二中は主に人事の会議になります。今回の三中が経済の会議となります。よって習近平氏がどのような方針を打ち出すのかが注目されているわけです。事前にわかっているのは「改革の全面的な深化」と、「中国式現代化の推進」が議題となっています。中国式現代化は中国独自の経済モデルの話で不動産に代わる新たなビジネスモデルの構築が内包されるだろうと予想されています。しかし、習氏はかつて経済発展の芽となる産業を自ら次々と摘み取ってしまった上に海外からの厳しい規制の枠で中国企業に自由度が少なく、発展の余地が限られてしまっています。(つづく)

 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム