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2007-10-25 10:44

シャンソンでアフガンを支援

岩國哲人  衆議院議員
 ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京と、世界の四大都市といわれるところで生活した経験を持てたのは、偶然にしか過ぎないけれども、いろいろな人から「どの国が、どの市が一番好きですか」という質問を受けることが多い。答えはむずかしい。その中でも、やはりパリは最も魅力的な、私の最も好きな街の一つだ。

 パリの町がなければベルサイユの栄華は生まれなかったし、その結果としてのパリの革命も起きず、世界に今の民主主義時代もこなかった。モーツァルトもショパンも、ピカソもヘミングウェイも、レーニンもホメイニもシアヌークも、皆がパリを選んだ。パリの町には、歴史の中の何かを、そしてまた未来の都市の何かを考えさせるものがある。私のパリでのアパートは、十六区のブルバード・ランヌの五九番地に決めた。ブーローニュの森をすぐ前にするアパートで、上の階にはブリジッド・バルドーが住んでいた。地下のガレージの、自動車をとめる場所が近くで、ときどき顔を合わせることがあった。そして秋が来た。パリの秋は足早に過ぎようとして、黄や赤に染め上がった並木の葉が通りに舞う、そのような日のこと、アパートのテラスから外を見ていたら、イブ・モンタンが一人でランヌ通りを、雑誌を小わきに歩いていた。

 パリに住んでいた四年の間は、パリの友人や東京からのお客様と一緒によく「ラパン・アジーユ」や「カブー・デ・ズブリエット」といったシャンソニエへ出かけた。私が日本で担当していた日曜朝のラジオ番組「凛として日本」――甘口・辛口・へらず口――という三十分のトーク番組には、学者、評論家、経営者、そして多くの芸能界の人にも出演して頂いたが、シャンソンの女王とか大御所とよばれる石井好子さんにも登場して頂き、パリ時代の思い出、シャンソン歌手のあれこれのエピソードなど面白いお話をたくさん聞かせて頂いた。

 番組が終わって石井好子さんから依頼されたのが、チャリティー・コンサートの舞台でシャンソンを歌うことだった。私の実力を知っている妻は反対したが、難民救済、世界の子供たちに愛の手を差しのべるために忙しい人たちが協力して何年も続いているという意味のあるコンサートだから、お断りすることはやはり出来なかった。パリに住んでおられた石井好子さんのお耳に、私がパリ支店長時代にシャンソニエへよく出かけて、ときどき歌っていたらしいというパリの日本人社会のいい加減なうわさが入り、それを信じておられたらしい石井好子さんの期待を裏切ることになりそうで、それだけは胸が痛むが、アフガンやイラクの子供たちのために頑張るしか仕方がない。水ぬるむセーヌの川を思い出しながら「パリの橋の下」を歌った。
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