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2022-11-21 19:21

英国の威信は大丈夫か

真田 幸光 大学教員
 英国と言う国は大航海時代の後半に、その強力な海軍力を背景にして、七つの海を荒らしまくり。世界各地を植民地化していきました。しかし、英国と言う国の凄さは、その、「植民地支配」に対する批判が世界中から高まり、崩壊するリスクがあるという認識を早々にして、植民地の解放を認める一方で、「民主主義、人権、法の支配」という正義の基づいた、「共通の価値観」をコモンウェルス憲章に明記し、「英国を軸とした連携」を今も確立している国であります。更に、その関係を肌で感じさせる為に、「四年に一度の英国連邦の運動会、英国連邦版オリンピック」まで開催しており、その連携は深いと見られています。
 
 こうした結果、英国連邦は世界の国土面積の約20%、世界人口の約30%を占めるに至っています。然るに、今般、英国連邦の中核国の一つであるオーストラリアからは、中国系移民などを含めた勢力の一部から「チャールズ新国王を、オーストラリアの国家元首にする必要はあるのか?」との議論も出始めており、更に、グレートブリテン島内部のスコットランドでは、「エリザベス女王とのお別れは英子王室とのお別れ」との声も出始めています。チャールズ新国王が、「英国の威信」を守り切れるのか否か、大いに注目したいと思います。尚、英国では、ジョンソン前首相の退陣に伴い新首相となったトラス氏が、減税政策などを打ち出した結果、強烈なポンド安という国際金融市場からの動きを受けて、混乱の責任を取り辞任宣言をしたことはご高承の通りであります。
 
 これにより、英国は、僅か2カ月足らずで3人目の指導者を選出、迎えることとなりましたが、こうした混乱も、「英国の威信」が低下している一つの表れかもしれません。そして、トラス氏の後任には、スナク氏がきまり、ここ最近では最年少の首相となり、更にアジア系イギリス人として初めて大国・英国と言う国を率いることになることから、あの誇り高き英国人がインド系のスナク氏に素直についていくのか不安が無い訳ではありません。スナク氏はこの9月の首相選出選挙ではトラス氏に敗れましたが、今回、スナク氏が保守党の混乱を終わらせることが出来るのか否かは不透明であります。
 
 更に、もう一点、欧州情勢に関連する情報を追記しますと、英国同様に首相の交代があったイタリアでは、自国第一主義的な思想があり、また、ロシア・ウクライナ問題に関しては、EUとは少し異なる考え方を持っていると見られるメローニ氏が新首相となりましたが、そのメローニ新首相は、「ロシアのウクライナ侵攻を含む共通の懸念に対処するため、イタリアは欧州連合と協力する。」と述べ、こうした発言が、欧州全体にとって一応の安心材料となっています。尚、9月の選挙で右翼連合が両院で過半数を獲得した後、メローニ氏はイタリアの指導者として選ばれ、メローニ氏を選出した政党である「イタリアの兄弟」も、今回、最も多くの支持を集めました。今後の動向を注視したいと思います。
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