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2022-09-14 17:23

(連載1)「政治と宗教」の関係に光当てよ

倉西 雅子 政治学者
 政教分離の原則が憲法第20条に明記されていながら、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とが長年にわたって癒着してきた実態は、今日、政治と宗教との関係を改めて問うこととなりました。当然に、同問題は創価学会を母体とする公明党にも波及するはずなのですが、報道によりますと、同一件について自民党の岸田総裁が公明党の山口代表に謝罪したというのです。
 
 それでは、あたかも他人ごとのように振る舞う公明党の態度は、どこから来ているのでしょうか。まずもって、創価学会員の特徴の一つとして、‘自信に満ちた態度をとる’というものがあります。それは、如何なる批判を受けたとしても決してひるんではならず、たとえ内心において動揺していたとしても、決してそれを表に出してはならない、というものです。新興宗教団体が低い自己評価に悩む信者に対して信仰によって‘自信’を与える仕組みが少なくなく、所属する教団は信者にとってしばしば自己肯定感を生み出す権威の源泉となります。同行動様式は、創価学会に限らず新興宗教団体一般にも見られるのですが、超越的で絶対的な存在である神や仏と自己を同一化し、その名の下で自らの教団の無謬を信じるメンタリティーは、客観的、あるいは相対的に自分の宗教団体や信仰を捉えることを難しくします。
 
 公明党の態度は、宗教団体にありがちな行動様式として理解されるのですが、こればかりが要因ではないようです。昨今の公明党側の発言や説明からしますと、同党は、論点をすり替えていると推察されるのです。論点をそれとなく移したり、はぐらかす作戦は、窮地に立たされた政治家が頻繁に用いる手法でもあります。
 
 それでは、公明党による論点ずらしは、どのようなものなのでしょうか。それは論点を‘政治と宗教の分離’から、‘カルト教団と一般の宗教団体との区別’とにすり替えるというものです。世界平和統一家庭連合問題が表面化した際に、最初に注目を集めることになったのが、フランス等で制定されている「反カルト(セクト)法」です。公明党は、フランスの手法に着想を得て、世界平和統一家庭連合をカルト教団とみなす一方で、自らは一般の宗教団体と自認して‘問題なし’としたいのです。(つづく)
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