国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-09-12 19:07

(連載1)日銀奏でる「日本円の葬送行進曲」

中村 仁 元全国紙記者
 130円台前半まで戻した円は再び下落に転じ、一時1㌦=145円に達しようかという急激な円安を記録しました。米FRB(中央銀行)のパウェル議長は「経済に影響が出てもインフレ抑制を優先する」構えで、政策の方向性について意思を明確に示しています。欧米の金融引き締めに対し、日本は超金融緩和を継続する構えで、「日本だけが別の世界にいるようだ」(日経)です。しかも鈴木蔵相が「急激な円安は好ましくない」と発言しただけです。肝心の日銀総裁は「ちょっとだけ金利を上げても円安は是正できない」と、白々しい発言です。
 
 円の価値をさらに減価させ、政府部門の債務(国債)を軽くしようとしているのでしょうか。動くに動けなくなった状況からどう脱出するのかの、意思表示が何もない。「円の葬送行進曲」、「円の国葬」という表現を政府、日銀に差し上げたい気持ちになります。 24年ぶりの円安、年初来25円の円安で輸入物価が高騰し、8月の消費者物価は2・9%(都内)も上がり、年末には3%の見込みです。秋以降、生活関連物資の値上がりがめじろ押しです。消費者や中小企業は困っている。日本全体を考えると、日本の安売りです。ドル建ての日本経済の価値はどんどん下がり、一人当たりのGDPは主要国の中で最低に落ちました。
 
 重大な局面なのに、黒田日銀総裁は今後、どのような金融政策をとるのか明らかにしていません。政府部門の巨大な債務(1000兆円を超す国債)をインフレでどんどん減価させるしか道がないと思っているのか。 米連銀では、パウェル議長ばかりでなく、理事らが「9月も政策金利を0・75%引き上げる」との感触を自由に表明しています。日銀理事らは発言の自由がないのか、何を考えているのかが分からない。酷いものです。
 
 市場関係者ばかりでなく、国民が知りたいのは「超金融緩和の出口をどう考えているのか」、「超金融緩和と一体になっている財政膨張の出口をどうするのか」、「その際に生じる経済へのマイナスの影響にどう対応するか」です。それについて政府、日銀からは何の発言もない。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム