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2022-05-31 15:38

(連載1)バイデン大統領訪日の総括

岡本 裕明 海外事業経営者
 外交の花が咲いた、そんな3日間だったのでしょうか。クワッド、IPEFの趣意説明、韓国新大統領との会談を受けた日韓関係の取り持ち、日本の防衛費増額の約束、そして結果として一番話題になったのは台湾防衛にイエスと言い放った時だったでしょうか。今回の訪日、一連の会談についてマスコミ、専門家、評論家がこぞって様々な分析や論評を述べています。「政治家による政治レベルのお話」でアドバルーンを上げようとするバイデン氏に対して今一つ、実感が湧かなかったというのが私の第一印象です。
 
 まず、バイデン大統領にとって自らの低い支持率の挽回策の一つが今回の日韓訪問だったはずです。ところが5月24日のロイター/イプソスの支持率世論調査では前週から6%ポイントも下げ、就任以来最低の36%となりました。国内を空けていたから支持率が下がったのか、東アジアでの成果への疑問だったのかは分析に時間を要すると思います。おまけに帰国するバイデン氏の後ろから北朝鮮が打ち上げ花火3発です。少なくともIPEFの創設は「やらされ感」満載で実務部隊からはその実効性や効果について疑問の声があるようです。その理由の一つは関税免除がIPEFの中に含まれていないからとされます。今、世界中で各国間が連携をとるバンドル(束)化政策を進めるのが一種の流行になっているのですが、これはそのうち機能しなくなるとみています。国家はSNSのように薄く広くつながるのが良いとは思わないのです。最強はやはり二国間のがっちりした取り組みだと思います。
 
 次にクワッド(QUAD)ですが、正直こちらも「なんだかわからなかった」というのが実感です。日米が盛り上がるもののオーストラリアとインドが今一つだった気がするのです。まず、オーストラリアの首相、労働党のアルバニージ氏は週末の選挙で保守党のモリソン氏を破ったばかりです。それこそ、選挙勝利後まだ選挙の後片付けすらしない状態で日本に飛び込んできた状態です。メディアは保守勢力から労働党への政権交代に伴いクワッドや対中国への姿勢をどう語るのか注目しましたが、アルバニージ氏は非常に賢く、めぼしい発言をしませんでした。
 
 同首相としてはそもそもクワッドへの参加というよりバイデン大統領とこんなにすぐに会えるという意味が大きかったはずです。同首相によればクワッドを含めた外交方針は前政権踏襲ということになっていますが、そのバランスのとり方については今は色を出す時期ではないと考えた節があります。オーストラリアに対しては今後、中国外交が猛攻勢を仕掛けるはずで今回のクワッドでオーストラリアにくさびを打ち込めたのか、ここは未知の世界であります。(つづく)
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