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2022-05-17 20:30

(連載1)プーチン時代は終焉に向かう

岡本 裕明 海外事業経営者
 注目されたロシアの対独戦勝記念日でのプーチン氏の演説はプーチン支持派をがっかりさせ、衰えを感じさせる内容でした。個別会合では強気発言がいまだに目立ちますが、内面では相当追い込まれている様相が伺えます。発言には新味がある内容は出ず、戦争宣言も出ず、刺激的でロシア兵に活力を与える材料も出ませんでした。戦争は死力を尽くした戦いであり、武器よりも戦闘する意志が重要になります。ウクライナは国を守るという非常に明白な意思と目的がありますが、ロシア側は軍が「なんとくウクライナ」状態であり、ウクライナのどこをどう抑えるのか、その作戦がクリアではなく、その為に広い国土のあちらこちらを攻めたりして一時、戦力が分散する形となりました。そもそもウクライナはすぐに降伏するだろうという前提があったわけですが、西側諸国家からウクライナへの武器などの支援もあり、苦戦しています。
 
 今後の展開としては東部ウクライナに戦火は集中すると思いますが、泥沼化した場合、どこかでロシアが総崩れになる可能性はあります。思い起こせば第二次世界大戦の時、ドイツがモスクワの間近まで迫ってきたもののソ連軍に押し返されました。当時のソ連はスターリン時代ですが、スターリンはその残虐性に問題があり、国内でも彼に反発する者を虐殺し続けたため、ソ連側の軍の指揮官不足が取りざたされていました。よってソ連が2700万人もの戦争犠牲者を出したのはある意味、スターリンが引き起こした自業自得もあったでしょう。一方、ドイツ側は北軍と南軍がレニングラードとキエフをそれぞれ侵攻してモスクワ近郊に到達しており、兵力が疲弊していました。これで弱いソ連でもドイツを押し返す最後の力を振り絞ることができたのです。
 
 では日露戦争、203高地の戦いはどうでしょうか。圧倒的有利なロシアに対して乃木将軍率いる日本兵は無数の戦死者を生み出し、各方面からの批判がありました。将軍自身が自信を失いかけていた中、最後の力を振り絞って攻めたのが歴史に残る203高地の戦いでした。これはソ連がモスクワを攻め立てられた時と似たケースだと思いませんか。
 
 ソ連がアフガンを攻めた時も好例です。当初は上手くいったのですが、アフガンのソ連への抵抗勢力が粘り強く、そして、抵抗勢力への米中などの武器や資金支援が勢力を強く温存させることになります。結局、10年戦い、ソ連は撤退、その後、ソ連崩壊の一因となっています。(つづく)
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