国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2007-09-03 09:55

郵政民営化の笑点

岩國哲人  衆議院議員
 郵政民営化法案の最大の目的は官に流れているおカネを民間企業に流れるようにすることだということだったが、本当にそうだろうか。郵便局に行くとそのカネが官の組織に流れてしまうというが、それは郵便局で働いている人たちの責任ではなく、入口よりもカネの出口の責任ではないか。今の制度でも郵便貯金は民間の方に流れる道がすでにできているのに、なぜ民間に流れないで国債の方にばかり流れているのか。そちらの出口の改革をしないで郵便局のせいにするのは、全くの思い違いではないか。出口を入口ととりちがえるお笑い。

 民営化は郵貯銀行の肥大化、そして民業圧迫につながる恐れがある。官から民へと言いながら民間銀行の経営を圧迫したり、それらの銀行からの税収が減るというのに、郵貯銀行からの税収見込みだけを説明するのもお笑いではないか。そしてまた、「中央から地方へ」、「地方を大切に」と言いながら、地方を大切にしてきた地方の銀行をつぶすのも、これまたお笑いではないか。

 カネには二とおりのカネがある。少しはリスクがあっても高い利子がほしい強気のカネと、利子が少し低くても安全がほしいという慎重なカネ。そういう人たちのための国の保証がある「貯金」という安心な制度を廃止して、明日からどの銀行が安心か自分で判断させようというのは、親切に見えるが実は意地悪というものではないか。親切と意地悪では大違い。

 日本に民営化を迫ったアメリカの「助言」も、親切かどうか。自分の国が郵便を民営化して成功した、利用者の不便も苦情もない、だから日本も民営化したらどうですか、というのならそれは親切というもの。しかし、自分の国は民営化法案を二度廃案にし、最終的に4年前の7月に、「民間企業に全国一律の郵便サービスは不可能で混乱が起きる。アメリカは民営化せず国営を堅持する」とはっきり結論を出し、公表しているのだ。これではアメリカによる「誤指導」を「御指導」ととり違えたお笑い。自分の国はやらない、やれないと決めたことを日本に勧めるのは、これもまた親切ではなく、意地悪というものだ。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム