国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-02-24 19:52

(連載1)日本企業のコスト高と混乱下の日本経済について

真田 幸光 大学教員
 日本の中小企業庁の最新の公式データに基づき、日本の企業を大企業、中小企業、小規模企業に分類し、収益状況を概観すると、先ず、売上高経常利益率は順に、大企業7.5、中小企業3.1、小規模企業2.2となります。こうしたデータを導く売上高は、順に1,125億円、5億円、68百万円。対する経常利益は、やはり順に、83億円、17百万円、1.5百万円、更に、損益分岐点を見ると、順に、60%、85%、93%となっています。 一方、日本の総企業数に占める中小企業以下の企業の割合は、99.7%でありますから、日本のほとんどの企業は、3%前後の経常利益率に喘ぎ、損益分岐点もほぼほぼ85%以上となっていますから、少しでも、コスト要因が膨らむともう利益が出せなくなります。
 
 そうした中、発生しているのが、世界の人たちが生きていく為に共通に必要な原油、半導体、物流費などの国際商品、国際サービス価格が上がっていることにあり、更に、これら国際商品の建値は基軸通貨米ドル建てであり、折からの相対的な米ドル高・円安状況は輸入価格を上げる、所謂、輸入インフレも引き起こし、中小企業以下の日本企業は総じて厳しい経営環境にあると言わざるを得ません。そして、新型コロナウイルス感染拡大により、先行きが不透明で売上高の増加に期待が持てない中小企業以下の経営者たちは、自企業を守る為に、コストをカットせざるを得ないような状況に追い込まれていると私は見ています。
 
 そして、これら経営者が自らの手の内で着実に手を打てるコストカットは、固定費のカット、就中、人件費のカットと言うことになるのはある意味、致し方ないことなのです。然るに、日本政府は、強制はしてはいませんが、「人件費はコストではないから、人への投資だから、上げて欲しい」と言う。しかしそれが出来ない。つまり、「無い袖は触れぬ中小企業、小規模企業」という実態がこうして今生まれているのではないでしょうか
 
 これに対して、まだ、相対的に経営余力のある大企業が、もしも、政府の要請に応じて相応の賃金を上げれば、「大企業に従事する従業員数15百万人、労働者全体の30%」は、賃上げメリットを享受出来、それにより、内需も拡大するかもしれませんが、残された中小企業以下に務める34百万人、率にして70%の人たちとの富の格差は更に開いてしまいます。(つづく)
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム