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2022-02-03 22:23

(連載1)北朝鮮はなぜあんなにミサイルを撃つのか

荒木 和博 拓殖大学海外事情研究所教授
 最近、北朝鮮が繰り返しミサイルを射っています。本当によくあんなに試射するミサイルがあるものだと思います。ミサイルは基本的に高価な武器なのにも関わらず、なぜこんなにも頻繁にミサイル打つのでしょうか。主な理由としては3 つあると思います。
 
 1 つは外貨稼ぎになるということです。ミサイルを射つことがデモンストレーションや技術実証になるわけです。自国開発のミサイルの技術を宣伝し武器の輸出に繋げることで北朝鮮にとっては極めて貴重な外貨が手に入る。ミサイルに限らず武器の輸出は国家財政上、極めて貴重な財源なのです。かつて金正男が成田で捕まった時も一説にはディズニーランドに観光に来たというのは本来の目的ではなく、武器の取引で生じた代金の回収に来たんじゃないかともいわれています。
 
 もう1つは、アメリカや国際社会に対する示威行動です。例えとして適切かはわからないのですが、小学校の時、男の子が好きな女の子にちょっかいを出して喜ぶといった類のアピールといってもいいかもしれません。女の子は眼中に無い男の子には見向きもしないのですが、男の子は関心を引こうと消しゴムを投げてぶつける。すると女の子から「何してんのよ」と言われて男の子は喜ぶ。今回の件で言えば、あの消しゴムに当たるのがミサイルだという風に思えば、それほど間違いないでしょう。女の子はアメリカ合衆国です。本来、北朝鮮はアメリカとタイで交渉できるような格ではないのですが、ミサイルを打ち込めば、アメリカはともかく話し合いをしようとするのです。北朝鮮が、この男の子のようなアプローチの仕方をする癖がついた原因は、クリントン政権のときの対北朝鮮外交にあります。北朝鮮がミサイルを射つとアメリカがすっ飛んできて話し合いをしようとするので、北朝鮮がパブロフの犬みたいになったわけです。
 
 3つ目は内部の権力闘争です。北朝鮮は一枚岩というわけではありません。軍の中も一枚岩ではないのですが、北朝鮮の軍部がそれ以外の勢力との間で、力関係の維持を図ろうとしているときに、内部の論理でミサイルの発射を行っているという側面もあるのです。この場合は、アメリカとか示威行動とか外交的な側面が主眼にあるわけではないということです。(つづく)
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