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2021-06-25 23:07

(連載1)仮想通貨の暴落と中国の影響

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 今年、それも3月以降仮想通貨が暴落している。なお、暗号資産とかデジタル通貨などといわれているが、今日はそれらを含めてすべて「仮想通貨」と総称して言うことにする。さて「仮想通貨」とはいったい何なのか。実際にそれで買い物ができることはほとんどないので「通貨」ということを言うにはかなり微妙である。実際には「相場制の高い資産」であり、ある意味で美術品や金塊などと同じような感じで考えた方がわかりやすい。通貨であると思ってしまうと、例えば日本の「円の紙幣や硬貨」と同じような感覚になってしまうと、理解が少し異なるものになるのかもしれない。
 
 さて、その仮想通貨であるが、多くの銘柄で暴落している。この要因に関して考えてみたい。「仮想通貨」は、新しい概念であるために新しい規制や法律が、株式や債券などといった長い歴史を持つ金融商品と比べると全く成熟していない。基本的には自由主義経済国において、金融商品取引は禁止された事項以外は何でも自由にしてよいということになっており、その自由の幅は広い方が良いというようにされている。禁止事項は「自由市場の秩序を乱す行為」を抑止するためにあるとされており、例えば、紙幣の偽造や相場の操作、詐欺などは許されない。
 
 これに対して、中国などの社会主義国家は、そもそも「自由主義経済」ではなく「共産主義経済」であり、経済そのものに「自由」はない。通常の自由主義国家の経済では自由があり政治権力による介入が少ないのに対して、共産主義経済は「社会や政治に管理された経済」ということを前提としている。よってすべてが「許可制」によって行われる。法律の構成も同じで、自由主義経済の場合は何かほかに害を及ぼすこと(医者などの免許制や自動車の免許、産業廃棄物など)に対する許認可等以外は、基本的に自由な経済活動ができるのに対して、中国などの場合はすべての経済行為(行として行う経済)に許可が必要になる。自由主義は「できないこと」の限定列挙なのに対して、共産主義の国は「できること」の限定列挙である。
 
 さて、このように中国経済は我々の国の経済とは異なる論理で回っているのだが、それでも「新奇性」に対しては明確な禁止はしないので、その間隙を利用して、さまざまな資産の移動がなされてきた。いや、中国の資本家たちは、いつ祖国が習近平により「21世紀の文化大革命」に陥るかわからないために、資産の多くを海外に逃がそうとしている状態にある。(つづく)
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