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2021-02-11 21:13

(連載1)森会長失言問題と公益法人に求められる価値観

緒方 林太郎 元衆議院議員
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の発言について、国内外から批判の声が出て、本日昼に森喜朗会長が辞任の意向を政府に伝えました。森喜朗会長は謝罪や弁明を行っておりましたが、国会でも「辞職」、「更迭」を求める声が日増しに強まっていました。ところで、国会議員の発言やマスコミの報道をみると東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が認定を受けている法人制度である公益財団法人というシステムに関して曖昧な認識がありそうです。
 
 当初野党議員から森喜朗会長の更迭を問われた菅総理は「更迭する権限は無い」と述べていました。これ自体はその通りです。ただ、このやり取りは極めて不十分です。というのも、組織委員会は公益法人です。という事は公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(公益法人法)の対象となります。公益法人自体は民間団体ですが、その公益性に鑑みて一定の法的規制が掛かります。ちょっと法律を追っていきます。まず、公益法人というのは以下のようなものです。
 
【公益法人法第四条(公益認定)】
 公益目的事業を行う一般社団法人又は一般財団法人は、行政庁の認定を受けることができる。
 
 では、ここで言う「公益目的事業」とは何かというと、以下のようになっています。
 
【公益法人法第二条(定義)】
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(略)
 四 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。
 
 ここで「別表」という言葉が出て来ます。もう少し見ていきたいと思います。
 
【公益法人法別表(第二条関係)】
(略)
 九 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
(略)
 十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
(略)
 
 すべての公益法人がスポーツ事業や男女共同参画事業をやる事を求めているわけではありませんが、例えば、男女共同参画が公益法人にとっての大切な価値観の一つだという事はよく分かります。そして、森会長の発言はこの公益法人法の掲げる価値観に反するものだろうと思うわけです。そして、公益法人法において「行政庁」は以下のような権限を持っています。「報告要求」というものです。(つづく)
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