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2020-11-10 16:07

東アジアの「党軍」たちについて

真田 幸光 大学教員
 私は、東アジアの軍事的安全に関しては、「波高し」の状況になっていると見ています。米国の世界的なプレゼンスが様々な視点から低下する中、「トランプ大統領の世界各地からの米軍撤退政策姿勢」が更に、こうした不安定さを増長させたように思われます。そして、こうして起こる、「力の真空地帯」の間隙を縫って、「共産主義、社会主義国家」である東アジアの中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国の軍事的な動きは表に裏に活発化してきていると私は認識しています。
 
 「表」とは例えば、中国本土の昨今の南シナ海台湾海峡、東シナ海尖閣列島、渤海湾での軍事活動の活発化に見られ、北朝鮮の核開発の再活発化に見られます。「裏」にとは、例えば、中国本土や北朝鮮による、見られる、世界的な、「サイバーテロ活動」に見られます。こうした中、今日、一点、申し上げておきたい点は、「中国本土や北朝鮮の軍隊は厳格に言えば国軍ではない。」ということです。イランの革命防衛隊もそうですが、世界には国軍ではないけれど、国軍同様、或いは国軍以上に権力者に近い軍隊もありますが中国本土と北朝鮮に見られる特徴の一つは、「いずれも党軍である。」ということです。即ち、中国本土の人民解放軍も北朝鮮の朝鮮人民軍いずれも、厳格に言えば、両国の「公式軍隊」ではなく、それぞれ中国共産党、朝鮮労働党の傘下にある、「党軍」であり、中国本土や北朝鮮の軍人たちが忠誠の対象とするのは、「国家や国民ではなく、党ではないか。」と見なくてはならないかと思います。
 
 そして、こうした状態が顕著に出た一つの事件は、「1989年6月4日に発生した天安門事件」とも言え、「人民解放軍は人民に対して銃口を向けた。」のであります。そして、私は、中国本土の習近平国家主席も北朝鮮の金正恩委員長も軍服は着ていないから、「文民である。」とはかならずしも言えず、むしろ、「軍人のネイチャーに近い。」と考えるべきであり、従って、「中国本土や北朝鮮は、軍に対する文民統制がなされていない国家である。」と認識しておくべきではないかと私は考えています。そして、こうした視点から、日本にとっては危険な国がすぐ近くにあると認識、国防意識を強めておくべきかと思います。
 
 尚、最後に一点、韓国の主要紙である朝鮮日報のコラムの一つを抜粋します。「『われわれは国家と国民に忠誠である大韓民国陸軍だ。』韓国陸軍の将兵が毎朝、点呼のときに叫ぶ服務信条だ。秋長官の息子が服務していたKATUSA(在韓米軍部隊に配属された韓国軍兵士)もまた、米軍ではなく韓国陸軍の所属だ。政権与党の元代表かつ現職法相という人物の息子への特別待遇疑惑をかばう最近の様子を見ると、大韓民国の国軍ではなく『民主党の党軍』になるのではないかと怖くなる。韓国の国軍は誰に対して忠誠でいるのだろうか。」(2020年9月20日、朝鮮日報日本語版)こうしたコラムを読んでいると、日本としては、「韓国も、中国本土や北朝鮮同様、軍に対する文民統制はなされていなくなっているのか?」と心配になります。
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