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2020-10-08 00:11

(連載1)陸上自衛隊「コロナ禍」に思う

松本 修 国際問題評論家(元防衛省情報本部分析官)
 10月6日、発足間もない菅内閣の岸信夫防衛相は記者会見で、朝霞駐屯地の教育課程に参加した陸上自衛隊(以下、陸自と略する)の20代女性隊員が、新型コロナウイルスに相次いで感染したことに関し「感染症対策の徹底が不十分だった可能性が極めて高い」と述べたとされる。
 
 防衛省によると、教育課程は9月29日までの日程。同28日には、発熱を訴える隊員がいたが、課程が予定通りに終わると、隊員は全国の所属部隊などに帰され、その後、日本各地における感染が判明し、岸防衛相は「(対策は)不適切で改善の余地がある」と指摘したという。同訓練の参加者は200人弱、10月7日までに32人の感染が確認され、感染者はまだ増加する可能性がある。以下は、一連の報道に接して思った元陸上自衛官である小生の所感である。

 10月7日現在、依然として浮動状況下にあるとは言え、防衛省のHPをみても今回の「コロナ禍」に関する情報公開や要人発言は確認されていない。そして、今回の報道に接して小生が真っ先に違和感を覚えたのは、朝霞駐屯地における「教育課程」とか「訓練」とか具体的な呼称・名義を回避している点である。情報保全上、あるいは女性隊員のメンタルヘルス上の考慮等からか陸自が、これらを曖昧にして口ごもる理由を小生は理解出来ない。伝統的に「用意周到」たる陸自担当部門は「状況が落ち着いたら、あらためて報告書を作成して部外に公開するよう準備している」と回答するかもしれないが、これは陸自や防衛省だけの問題ではないのだ。依然として日々感染者が発生している日本や日本人の問題、その感染ルートを明らかにするための方策になる問題だと小生は考える。

 したがって、小生は今回の教育課程が、①教育機関である東部方面混成団隷下の女性自衛官教育隊における初級陸曹課程であった、②200人弱もの大量の婦人自衛官を集めたのは、コロナ禍で延期された春季要員に、秋季要員を併せて開始した大規模課程となった、③9月29日卒業前、週末26日のバス旅行参加者は数十人とされ、課程履修者全員が参加したものではなく一部「有志」のBBQ旅行であったことなどが推定されると思う。(つづく)
 
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