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2020-08-25 21:36

(連載1)大宰相、安倍晋三

岡本 裕明 海外事業経営者
 日本の大宰相はそのほとんどが戦後直後の復興から大車輪で急成長した時代の方がほとんどです。人気度から見ても吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄といった歴史の教科書に出てくるような人物がずらりと並びます。なぜかといえば時間が経ち、評価が一定してきていることこともあれば、上に向かっていく経済や社会の流れの中で誰が何をやっても比較的うまくいくという幸運さもあったと思います。例えば戦前の首相は軍部との駆け引きが非常に難しく、また、軍部と天皇との間に挟まり、誰も首相をやりたがらないという状況に陥り、短命の首相が続出します。唯一長かったのはかつての五摂家の筆頭である近衛家から出た近衛文麿でした。国民人気にも押され、3期やりましたが東京裁判の直前に自殺というある意味、非業の死を遂げました。
 
 では、なぜ、近年大宰相が出ないのか、といえば日本が成熟化し、経済成長は低位安定、物価は技術革新も手伝い下落気味という時代性があります。超長期的ビジョンから日本人の不安感が台頭しているのだろうと思います。例えば若い人は老後の年金は期待できないと当たり前のように口にし、年金を積み立てず、年金受給資格がなかったり、積み立てた金額が少なすぎたりする状況にあります。挙句の果てに国に文句を言う人があとを絶ちません。例の老後の2000万円の話も結局、自助努力をした者とそうではない者の差から生まれた怨嗟の声にも聞こえます。
 
 国際関係を見ても日本が日米安保という明白な枠組みの中、東アジアの隣人たちとの関係をどう築くのか、彼らの経済的台頭とともにより難しい関係となりつつあります。そのために、日本には東南アジアやインドとの連携を進めたいという野望もあります。ただ、最終的に日本が何をしたいのか、その位置づけが不明瞭となり、国民同士で一体感を保てなくなります。当然ながら首相への一般的な評価は厳しくなり、期待される成果はより大きくなっていることが考えられます。だからこそ、麻生さんが首相だった頃、ホテルで酒を飲んで週刊誌に金満ぶりを叩かれたわけですが、あれぐらいの出費はキャバクラ通いしている輩に比べれば大した金額ではないのです。
 
 その中で安倍首相は連続在任7年8カ月となり、8月24日にそれまでの1位だった佐藤栄作氏を抜いて1位となりました。それまで海外では名前すらきちんと覚えてもらえなかった日本の首相がプレゼンスを示し、アメリカ議会で演説し、日米の絆を確固たるものとしました。広島にオバマ前大統領が来るという歴史的なセットアップもありました。(つづく)
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