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2020-07-02 21:44

(連載1)「敵基地攻撃能力」は日本防衛に不可欠

加藤 成一 元弁護士
 政府・自民党は、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画断念を受け、国民の生命と財産を守るため、ミサイル防衛政策の抜本的見直しに着手した。核を放棄しない北朝鮮や、核戦力を含む軍備増強を進める中国の脅威を考えれば、日本にとって「イージス・アショア」に代わる抑止力強化は必要不可欠であり、他国からのミサイル攻撃を抑止するため、他国の領域にある基地や武器を攻撃する能力である「敵基地攻撃能力」の保有は重要な選択肢と言えよう。
 
 「敵基地攻撃能力」の保有については、中国と日本共産党が早速批判している。中国外務省報道官は6月24日の記者会見で、「日本の野心や陰謀は誰の目にも明らかであり、日本は専守防衛の約束を守れ」と批判し、日本共産党志位委員長も25日の記者会見で、「すべてのミサイルを一瞬で破壊するのは不可能であり、反撃が来て日本が火の海になる。全く有害だ」(以上いずれも27日付け「夕刊フジ」配信)と批判した。
 
 しかし、核戦力を含む軍事力を年々拡大増強し周辺国の脅威となっている中国にはそもそも日本を批判する資格は全くない。のみならず、後記の通り、抑止力が無ければ、「専守防衛」自体も不可能となる。また、「平和外交」のみを絶対視し、自衛隊や日米安保による抑止力を認めない日本共産党の批判は、水爆を含む大量の核ミサイル攻撃による日本国の消滅と、1億2000万日本国民の全滅をもたらしかねず危険極まりないものである。
 
 日本は、現在、海上配備型イージス艦と陸上配備型PAC3のミサイル防衛システムを保有している。しかし、ミサイル防衛にはかねてより技術的限界が指摘されており、特に同時大量の弾道ミサイル攻撃には対処できないとされている。のみならず、飛んでくるミサイルを迎撃するだけで、敵のミサイル基地を攻撃破壊しなければ、際限なく大量のミサイル攻撃を受ける恐れがある。したがって、「敵基地攻撃能力」の保有は、現行のミサイル防衛システムの弱点を補完するものとして、極めて重要な選択肢であり、日本防衛に必要不可欠と言うべきである。なお、「敵基地攻撃」は日米安保条約5条に基づき「鉾」である米国の役割であり、「盾」である日本の役割ではないとの説がある。しかし、米国の参戦は何よりも米国の「国益」と「世論」に基づく議会の承認を必要とするから、常に参戦が保証されているわけではない。(つづく)
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