6月25日に、米上院では香港で反体制活動を禁じる中国の「国家安全維持法」が制定された事を受けて「香港自治法案」を可決した。この法案によって、香港自治権侵害に関わった組織(中国共産党)や取引先の金融機関に制裁を科す事になる。さらに、共産党に協力的な第三国の金融機関にも制裁を広げる。実質的には中国締め出しである。こうした米国の動きに対して中国は反撃を強めそうだ。現在、西太平洋ではロナルド・レーガン、セオドア・ルーズベルト、ニミッツの3空母がパトロール中である。南シナ海、パラセル諸島、尖閣諸島、台湾海峡で緊張が高まっている。米中冷戦が「ホットな戦争」につながるかもしれない、朝鮮半島情勢が緊迫化しているにもかかわらず、日本はイージスアショア計画を停止した。これでは「私は丸腰で立っています」と世界に晒すようなものだ。日本政府は国民の生命と財産を守れるのか?
ところで、世界では経済活動再開とコロナ感染第2波とが一緒にやって来ている。第1波が終息したとは言えないが、このまま経済活動を再開しなければ、多くのビジネスが立ち行かなくなる。例えば、ニューヨーク市ではロックダウンと暴動が続けば、レストランやホテルの三分の一は経営破綻すると予想されている。
一方、世界の感染者数は1週間に100万人を超えるペースで増加している。感染拡大を抑制しつつ、これから経済・金融はどうなるのか?楽観論と悲観論の2つのシナリオがある。 楽観論:ワクチンが開発され、今年年初の成長ベースラインに戻る。景気は「V字」回復するが、株価の反発は弱く、なだらかな回復となる。 悲観論:今年後半から来年年初にかけて感染第2波が襲い、リセッションが深まる。さらに、深刻なリセッションが金融危機を引き起こす。株価は今の水準から4割近く下落し、2番底に達する。最悪のシナリオである。
グラフはOxford Economicsによる直近の予想である。(赤線はコロナ以前の今年1月を起点とした予想ベースラインを示し、青線が今後の予想、最悪のシナリオを示している。)これは、リーマンショックのような金融危機がリセッションを引き起こすといったバブル破綻のパターンではなく、感染拡大で経済活動全体がフリーズするといったパターンである。11月の米大統領選挙前に、米中が軍事衝突する、あるいは大規模な中印紛争が勃発するといった世界同時多発的な紛争が起こる場合、通信網が遮断される、貿易が止まるといった想定外の非常事態を想定すべきであろう。その時点でのショックもまた、短くシャープなものになりそうだ。
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