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2020-02-11 21:06

(連載1)かなり奇妙な米弾劾裁制度

中村 仁 元全国紙記者
 米上院で行われたトランプ大統領の弾劾裁判は、予想通り無罪判決となりました。上院は共和党が過半数の53議席(民主党は47議席)で、3分の2以上の賛成が成立条件。ミット・ロムニー氏が造反したものの評決を異なる結果にすることはありませんでした。
 
 世界の主要リスクのトップは「誰が米大統領になるか」(政治リスクの米調査会社)です。「外交の私物化の表れ」「米国内の深まる分断」「同盟関係の黙殺」を加速するトランプ氏は、常識的に考えれば、大統領にふさわしくありません。ですが、こうした常識がもう通用しない様相。良識や正義は劣位の扱いを受け、政治的な思惑や駆け引きが優位に立って物事が決まっていくのです。
 
 トランプ氏が弾劾に追い込まれる状況になると、秋の選挙で共和党は落選者が増え、民主党は当選者が増え、上院の過半数を握りましょう。それを恐れ、共和党は結束を固め、大統領の弾劾に反対する。全上院議員が陪審員となる裁判ですから、何が正義かではなく、政治的思惑で結果が決まるのは当たり前です。
 
 私が妙だと思うのは、選挙の利害関係者にあたる上院議員が陪審員となり、判決を下すことです。通常の裁判では、一般市民から陪審員が選ばれ、事件の利害関係者が陪審員なることはありません。利害関係者が陪審員になったら、自分らに不利になる判決は下さないからです。こうした構図は利益相反になりかねない。そうした議論がなぜ、起きないのか。つまり「他人の利益を図るべき立ち場にある人が自己の利益を図る行為」を行う利益相反にあたると考えます。議員という公職にある人が、自分たちの当選という自己の利益を優先させることになるからです。(つづく)
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