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2019-10-09 20:28

(連載1)トランプの対イラン強硬姿勢の裏

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 イラン情勢がかなり悪化しているように見える。この「見える」というのは、どうも日本のマスコミはそのように一斉に報じているという意味だ。新聞などを読んでいると、今にもイランとアメリカが戦争をするかのような話になっており、まあ、現実ということを全く無視した憶測報道があまりにも多いということがなかなか面白い。
 
 イラン情勢に関しては、トランプ危機起源説、つまり「トランプ大統領が、核合意があるにもかかわらず一方的におかしな方向に持っていった」という考え方と、オバマ危機起源説、つまり「オバマ大統領が欠陥のある核合意をしてしまい、その是正のためには仕方がない行為であった」という考え方がある。
 
 いずれにせよ、イランとアメリカの関係は「表面的な融和ムード」からは後退している。しかし、実際はどうであろうか。アメリカ側は、対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官を解任し、またそのほかでも「言葉では最も強い制裁」といっているが、実際は各所の報道ほどの深刻化はしていないと私は考えている。
 
 イランに対して既に経済制裁を課しているのに、今さらイラン国立銀行への制裁を更に行ってもあまり大きな変化はない。なぜならば、「取引」が存在しない状態で銀行に金を振り込む者など基本的には存在しないからだ。よって、銀行を封鎖しても追加制裁の意味を持たないのである。こんなことをもって「これまでで最大の制裁」といっているのだ。つまるところ、トランプ大統領はイランとの戦争を本気で起こしたいと実際は思っていないのだろう。様々なことを言っていても、実際に中東の砂漠地帯で戦争を行うことのリスクはアメリカがイラク戦争やアフガニスタンの戦争でよく学習しているわけであり、その「泥沼になる戦争」の重みを考えているのだろう。(つづく)
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