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2019-06-25 16:49

(連載1)世界経済の今後について

真田 幸光 大学教員
 現行の世界経済秩序を考える時、英語、米ドル、根拠法と裁判権が英米法と英米裁判所、ISOなどのものづくり基準、英米会計基準となっていることなどからしても、「英米の世界秩序」と言え、就中、基軸通貨・米ドルを持つ「米国」の経済が世界経済に与える影響は、必然的に大きいと考えるべきであると思います。
 
 こうした中、「この約四半世紀の世界経済は、米国の連邦準備理事会(FRB)が政策金利を引き上げるたびに揺らいできた。」と言えましょう。即ち、例えば、2005~2006年に米国が政策金利を1%から5.25%まで引き上げると、世界的な金融危機が訪れ、1994~1995年に同様に3%から5.5%へ米国金融当局が政策金利を引き上げ後にアジア通貨危機が発生した際と同様になったと言えます。そして、その後、米国金融当局によって高金利が維持されると、南米の経済危機が再燃しています。
 
 私は、「行き過ぎた広義の信用創造によって、現在、世界経済は、実体経済を大きく上回る金融経済規模となり、所謂、バブル経済状況となっている。」と考えていることから、世界の基軸通貨である米ドルを発行する米国の金融当局が、「金融引き締めを行うべきである。」と、「べき論」では考えていますが、「現実との折り合い」を考えると、米国金融当局には、現実を見た機動的な対応を求めたくなります。こうして考えると、現在の米国の政策金利である2.5%という数値は、絶対的水準としては決して高くはありません。しかし、数年前となる2015年の0.25%に比べれば、10倍も高い金利水準となっていることは事実です。更に、最近では、米国の長期金利と短期金利の格差が縮小しており、「国際金融市場に不安を拡大させている。」ようであります。
 
 上述したように、「行き過ぎた広義の信用創造によって発生したサブプライムローン問題」とこれを契機に発生した「リーマンショック」という「2008年の金融危機」では、その後、先進各国自身が、借金体質にあったにも拘らず、公的機関として、過去最高の資金を国際金融市場に供給、更に、中国本土が巨額の景気浮揚策を取ったことで克服できたと言えましょう。しかし、現在、その後遺症となる「財政危機」の根源的リスクを抱える欧州や成長戦略を一向に見出せず、マイナス金利政策続ける日本、そして、財政悪化の進む中国本土に追い打ちをかけるように、米国が、通商摩擦を仕掛け、中国本土経済が世界経済を支える立役者となるような余力も今回は無さそうです。(つづく)
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