国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-12-12 11:58

日本に対する見方について

真田 幸光  大学教員
 日本の国家債務に対する国際金融筋の目は厳しいと言うのが、私の実感です。本年9月の様々な国際会議に於いても、水面下では、外国人から、日本に対して、「日本はそもそも国家債務を返済する意思があるのか?」と厳しい質問を受けたとも聞いています。そして、その直後に、日本政府は、来年予定されている、消費税引き上げを、「今回こそは、予定通りに実施する。即ち、国家債務を少しずつでも返済していく意志を持っている。」と海外に向けてメッセージを発信したように見えますが、そうであるとすれば、「消費税引き上げ実施後に、日本の国家債務が減少トレンドに本当に入るのか否か?」が次の焦点ともなりましょう。

 さて、その日本の国家債務ですが、「高齢化に伴い医療や年金など社会保障費の拡大に歯止めがかからず、日本の政府債務は国内総生産(GDP)の2倍を超してしまった。太平洋戦争末期とその後、日本は巨額の累積債務を、結果的には、敗戦による過酷なインフレによって払拭、結局は、その国家債務の代償を支払わされたのは国民となった。」と言ってしまうと、やや行き過ぎでしょうか。日本の政府債務残高は既に1,000兆円に達しており、日本の名目GDPの約2倍となっており、これは、「事実上の国家破綻をしたギリシャよりも悪い数字である。」とも言えます。

 こうしたことから、国際金融筋が、日本の国家債務の現状に目を向け、日本はリスクが高い国であるとの認識を本格的に強めれば、日本に輸出をしても金額を支払う可能性は低くなりますし、これにより、日本に対しては輸出をしてこなくなります。こうした結果、「円安と物価高」が誘引され、最終的には、日本国債の外国人保有者が、一気に「日本国債売り」を仕掛け、日本国債の利回りは、2012年頃のイタリア国債金利高騰時のような割合になります。つまり、欧州財政危機のような現象が日本で起こっても、実は不思議ではないのです。そうした意味で、私たち、日本国民は、「日本の国家債務問題」には大いに意識を払う必要があると思います。

 尚、こうした中、私が名古屋でテレビを観ていますと、名古屋の国税局が、大学で学生たちを前にして、「今の日本の国家債務状況を考えると、納税の義務を果たしていくことは大切である。」との趣旨のセミナーを行ったと聞きました。これは、大変に大切な動きであると思います。しかし、私は、これでは、若い人たちに対する指導は不十分であると考えます。即ち、若い人たちには、「納税の義務」ばかりを教えるだけでなく、「納税者として、税金の使い道についてもしっかりと考えるよう指導する。」ことをして初めて、指導は完成するものと考えます。日本国民は名実ともに、大人の立派な「納税者」とならなくてはいけないのではないでしょうか?
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム