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2018-06-07 10:59

(連載2)イラン問題とBREXITについて

真田 幸光  大学教員
 更に、「シリア問題では一歩も譲らない。」との姿勢を示すロシアも、米国に対して、「イラン問題では譲歩すること、やぶさかではない。但し、その見返りとして、シリアと北朝鮮の権益をこれまで通りにロシアのものと認めればではあるが」とアプローチしているとの声も聞かれます。事態は複雑怪奇です。

 一方、BREXIT問題に関しては、様々な見方が出ていますが、今日、私が申し上げたい点は、「BREXITすると言っている英国自身の混乱」についてであります。即ち、英国国内では、EU離脱後、「EUとの関税協定をどうするか?」という点を巡って、議会ばかりか、「英国保守党内」でも議論が割れているのであります。これに対して、もちろん、「こんなことでは保守党は分裂してしまう。そんな事態は、なんとか回避しなくてはならない。」とメイ首相は、下院議員達への説得に乗り出してはいますが、この議論の両陣営、「自分達の姿勢を変えるなんてことはあり得ない。」との姿勢を崩していません。

 EU離脱後のEUとのあり方を巡り英国自身が分裂状態にある一方、来年3月末のEU正式離脱の日は日に日に迫っています。こうした中、メイ首相は、自ら提唱する「関税パートナーシップ」の中で、「英国のEU向け輸出について、英国政府がEUに代わって英国の輸出企業から関税を徴収する。」との主張を繰り返していますが、これに対して、英国国内では、「そもそも、この関税パートナーシップなんて、実現不可能、メリットもない。むしろ、アイルランド共和国と北アイルランド自治州との境に超最新式技術装置を置き、税関などなくても、北と南の間のヒトとモノの流れは完全にチェック出来る。」との声が対局にはあります。

 しかし、私が見るところ、後者の方がむしろ現実的ではありませんし、さりとて、例え英国内で、メイ首相の意見が採択されたとしても、その案を、EU加盟国諸国は、「なんと虫の良いことを言う!」と言って、簡単には、メイ首相の提案を受け入れるとは思いません。そして、そうこうしているうちに、英国内部では、将来的に、「スコットランドや北アイルランドから、英国離脱の動きが見られる危険性」も出てくる可能性が高く、ここまでくると、「現行の世界秩序であるところの英米の秩序のうちの英国が崩壊し、世界全体に与える影響は少なくない。」であろうと思われます。世界には、「混沌を更に深める火種」が朝鮮半島情勢以外にも、まだまだたくさんあると私は感じます。(おわり)
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