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2018-05-08 11:15

(連載2)尖閣諸島を守るための基本方策

佐藤 有一  軍事評論家
 (2)外交戦略::中国の海警局の公船による尖閣諸島周辺の接続水域での航行、領海への侵入が繰り返されています。このような力まかせの行動を繰り返せば、「中国は力まかせで強権的な国である」という認識が、日本国民に根付いていくことでしょう。これが日中関係に好い影響を及ぼすことはあり得ません。外交は国民世論の制約を受けることを忘れてはなりません。日本は民主主義国家であり、国民の意思は世論として形成され、日本の国家としての強固な意志となって外交に反映されていくのです。しかしながら、尖閣諸島に関する争いがあるにしても、日本と中国の間には、貿易や投資の拡大による緊密な経済関係があり、訪日する中国人の数も増加しています。このような経済的な交流は、日本と中国の外交関係を改善させるきっかけになるでしょう。また日本政府が最近、中国の「一帯一路」構想と連携する姿勢を示していることも、中国との信頼関係構築に役立つと言えます。日本と中国の官・民を含めた各分野の交流によって、日中関係の改善と発展を進めることができると思います。それが日本と中国の領土の争いを部分的にでも緩和させる可能性はあります。

 東南アジアの海域においては、中国と領土問題を抱えている国々との友好的な外交関係を築くことが望まれます。これらの国々に、日本の海上保安庁で使用していた巡視船や航空機を供与して、それを運用するための教育・訓練を提供することが、日本とそれぞれの国の海上保安機関との協力・連携関係を強化することになります。また、海上保安庁の巡視船を派遣して、これらの国の海上保安機関と共同訓練を行い、海上警備能力の向上を支援することもできます。これは「巡視船外交」と呼ばれているようですが、中国に対抗した外交を前向きに進めようとしている日本の外交姿勢を、うまく表現しています。「日米安全保障条約第5条」は米国による日本の防衛義務を定めています。日本政府は機会がある度に、米国の大統領や国務長官に尖閣諸島が「日米安全保障条約第5条」の適用対象となることの確認を求めてきました。このような日本政府の姿勢は米国に頼りすぎと思いますが、それが中国の尖閣諸島への侵攻を抑止することに役立っていることは確かでしょう。しかし懸念されることは、「日米安全保障条約第5条」の適用範囲は「日本国の施政下にある領域」となっていることです。従って、中国が尖閣諸島に侵攻して占領してしまうと、日本の施政下にある状態でなくなるので「日米安全保障条約第5条」は適用されなくなるのかもしれません。そのような事態にならないように、何としても中国の侵攻から尖閣諸島を守らなければなりません。いずれにしても、日米同盟を強固にしていくことが、日本にとって死活的に重要であることは間違いないので、それが日本の外交戦略の最優先事項になるのです。

 (3)海上保安::中国の公船による尖閣諸島周辺の接続水域・領海への侵入には、海上保安庁が石垣島の基地に「尖閣領海警備専従体制」を整備して対処しています。今後も引き続き、中国側の攻勢に対応していくしかありません。漁船に偽装した中国船が、武装して尖閣諸島に上陸した時に、海上保安庁では能力的に対応できない状況いわゆる「グレーゾーン事態」になったならば、自衛隊が出動できるように法改正しようとする動きがあります。この場合出動した自衛隊の行動は、警察権に基づいた行動に制約されるとのことです。しかし、自衛隊の行動を警察権限のみに制限したとしても、自衛隊の出動そのものが、中国に人民解放軍を投入する口実を与えることになります。大砲とミサイルを搭載した自衛隊の護衛艦が、警察権のみを行使すると宣言しても、中国がそれを素直に受け入れるはずがありません。中国は即座に人民解放軍を投入してくるのは明らかです。従って、尖閣諸島における「グレーゾーン事態」への対応は、基本的に海上保安庁のみで実施すべきです。

 「グレーゾーン事態」に対処できる能力を持った特殊警備隊を乗船させた巡視船を、石垣島に配備することを提案します。特殊警備隊は海上テロ、海上犯罪に対処する目的で編成された、海上保安庁における最精鋭部隊です。この巡視船は速力30ノット以上の高速機動ができる船体とし、大口径の機関砲、偵察器材、上陸用ゴムボート、監視用無人ヘリコプターを搭載します。偽装漁民などが乗る中国船が尖閣諸島に近づく状況になったならば、ただちに出動させます。石垣島から尖閣諸島への所要時間は3時間ほどてす。偽装漁民などが尖閣諸島に上陸したならば、特殊警備隊はただちに偵察活動を行い、特殊警備隊で対処が可能であれば、すみやかに国内法に基ずいた法執行を行います。対処が無理であれば、それを政府の対策本部に報告します。対策本部は政治判断をして、海上警備行動あるいは防衛出動を発令して、自衛隊を出動させることになります。その場合は、中国は人民解放軍を投入してくると覚悟しなければなりません。(つづく)
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