国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-04-17 11:02

防衛産業の発展と韓国について

真田 幸光  大学教員
 科学の発展は素晴らしいものであります。しかし、科学によって開発された技術が悪用されると、「殺傷用兵器」と化す可能性もあることは、例えば、「ダイナマイト」の研究・開発とその後の利用状況の例を見ても明らかであります。最近では、日本国内でも、「科学者たちが兵器の研究開発には参加しない。」との姿勢を示すケースも見られる一方、「ビジネス・メリットを背景とした防衛装備に関する研究・開発」を進める科学者もあり、「平和的な科学の発展」に疑問符が付くケースもあるのではないかと思われます。

 ところで、こうしたことは、隣国・韓国でも見られ、韓国国内のマスコミ報道によると、「韓国の国立大学である韓国科学技術院(KAIST)が人口知能(AI)を利用した殺用兵器である“キラーロボット”を開発する可能性がある。」との見方が出ています。更に、こうしたKAISTの動きを問題視し、世界の科学者たちが、KAISTとの共同研究を全面的にボイコットすると宣言したことも韓国国内では報道されています。そして、こうした世界の科学者たちのKAISTに対する動きを強く懸念し、KAISTは即座に、「殺傷用兵器の開発はしない」と釈明しました。これらより、韓国政府は、実際にKAISTに対する研究ボイコットが行われる可能性は大きくないとみられるとしていますが、例えば、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大コンピューター工学科のトビー・ウォルシュ教授ら29か国・地域の教授57人は声明で、「2月20日にKAISTが防衛産業関連企業と共同で設立した国防人工知能融合研究センターは、様々なキラーロボットを開発する可能性がある。」との懸念を表明、サイエンス誌とのインタビューで、ウォルシュ教授は、「KAISTの研究は、ドローンや潜水艇、巡航ミサイル、自律型警戒ロボットや戦闘ロボットの開発に適用される恐れがある。今回賛同した教授たちは、KAIST総長が“人間の統制を超えた自律ロボットを開発しない。”と公式に保障しない限り、同大学の構成員との全ての協力を中止することを決めた。」と述べており、KAISTが安易な姿勢を示した場合には、簡単に納得しない可能性も残っていると私は見ています。

 こうした状況に対して、KAISTのシン・ソンチョル総長は、「声明の内容をあらかじめ入手し、声明に署名した教授全員に、“殺傷用兵器や攻撃用兵器の研究はしない。”という内容の文書を発送した。研究センターは、防衛産業に関する物流システム、無人航法、知能型航空訓練システムなどに関するアルゴリズム開発のために設立されたものである。」と説明していますが、本当に開発された技術は軍事利用されないのでしょうか?平和を前提に南北融和を図る韓国が、「防衛産業という事実上の軍事産業の発展を図り、外貨獲得産業として育成していく政策姿勢」は、朴前大統領も示しており、韓国も他の先進国同様、或いは北朝鮮などの一部国家同様、防衛装備品という名の兵器の研究開発と生産、販売に、より一層注力してくる危険性があると私は見ています。

 さて、日本はこうした中、他国の動きを意識し、日本のビジネス界と科学者たちも、兵器の研究開発とその生産・販売に注力するのでありましょうか?注視していきたいと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム