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2017-12-20 10:07

(連載2)タイについて

真田 幸光  大学教員
 然るに、2016年10月13日にその信任厚いプミポン国王が崩御、同年12月1日にワチラロンコン王子が国王に即位したことを受けて、「タイの軍暫定政権は一体何時、選挙を実施、民政への移管を実施するのか」について、各所では注目されています。取り敢えず、2017年4月7日に新憲法が公布され、同日施行されていることから、「総選挙、民政移管への道を歩み始めている」と見ても良いかもしれませんが、それでも、「実際の民政移管までには、まだまだ時間を要する」「民政移管への過程で、ワチラロンコン新国王とその新国王に近いと見られるタクシン元首相の連携により、タイの新体制は相対的には中国本土との関係が深い新国王とタクシン元首相の思惑もあって、中国本土寄りの姿勢が加速化する」と言った見方も出ているのであります。

 このようなタイではありますが、「日本人のタイに対する一般的な印象」を総括してみますと、「タイには、長年、国王が存在し、天皇制を持つ日本と類似している」「タイは歴史的に見ると農業を中心として発展して来た国家であり、そうした意味でも日本と類似している」「タイの生活の根底には『仏教』が存在している。小乗仏教を基本とするタイの仏教と大乗仏教を基本とする日本の仏教には根源的な違いがあるものの、同じ仏教が庶民にも浸透していると言う点で、日本人はタイに対してスィンパシーを感じやすい」「タイ人は『微笑みの国』の人にも代表されるように、温厚であるとの認識が、一般的には、日本人に浸透している。因みに私の経験からすると、例えば、タイ人は一般的には人前で面子を潰されることを極端に嫌い、これを面子を潰されると豹変、突然、激しい言動に出る傾向があります。従って、タイのオフィスでタイ人に注意をする際には、人前で激しく叱責するような行動は極力控えていました」

 さらに、「歴史の中での山田長政の話が日本人には多く浸透しており、そうした点からもタイに対する親しみを日本人自身が感じやすい」「タイの日本に対する反日意識がさほど無い中、典型的には、中国本土、或いは韓国などに比べると、相対的には、タイ人が圧倒的に日本びいきであると日本人が感じている」「外交面でも、ビジネス面でも、タイとの関係を強化し、それを梃子にして、中国本土やその他ASEAN諸国とのパワーゲームを行う為のカードとして、タイは利用しやすいと日本人は考えている」「ASEAN諸国への食い込みへの『橋頭堡』としてタイを捉えている」等々の印象を持ち、一般的には、「日本人のタイに対する印象は良い」と言えるかと思います。

 しかし、そうしたタイが上述したように、今後、相対的には中国本土に寄り、その立ち位置を変えていく可能性、日本にとっては危険性とも言えますでしょうか、を注視していく必要があると思います。これまでのタイに対する一般的な印象から、ある意味では少しはなれて、様々な視点からタイの情勢はフォローしていきたいと思います。(おわり)
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