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2017-12-19 10:26

(連載1)タイについて

真田 幸光   大学教員
 今回は、「東南アジア諸国連合=ASEAN、アセアンの優等生」「微笑みの国」などと言われる「タイ」について眺めてみたいと思います。通称タイ、正式には、「タイ王国」と呼ばれるタイは、東南アジアに位置する立憲君主制国家であります。また、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピンと共に、当初の基本姿勢としては、「中華人民共和国の人民解放軍の南下傾向」を懸念、これを未然に防ぐべく、東南アジアのこれら主要国が連携して1967年8月に創立した東南アジア諸国連合(ASEAN)に当初より加盟した国であり、アセアン諸国有数の影響力の加盟国でもあります。そして、通貨はタイバーツ、人口6,718万人、首都はバンコクであることは皆様もご存知の通りであります。また、タイの国土は、インドシナ半島中央部とマレー半島北部を占めており、南はマレーシア、東はカンボジア、北はラオス、西はミャンマーと国境を接しており、長い歴史的視点から見ると、「周辺地域との紛争も絶えなかった国」でもあります。

 因みに、この地域ではタイは比較的「強い国」として存在感を示してきた国でもあります。更にまた、マレー半島北部の西はアンダマン海、東はタイランド湾にも面しています。周辺諸国との最近の関係を見ると、「中国本土との関係は、華僑系の水面下での動きなども加わり、徐々に緊密化してきている。

 一方、マレーシアとの関係は、マレーシアに存在するイスラム原理主義勢力がタイ南部に対して影響力を強め、ある意味では距離が開いてきているとも言える。アセアン全体に於ける存在感は依然として強いが、民主主義が少なくとも形式的には損なわれていることに加えて、タイ国内はもとより、周辺諸国に対しても一定の威厳(=Dignity)を示してきたプミポン国王の崩御により、相対的にはタイの立ち位置は弱まりつつある」と言った点を上げておきたいと思います。

 その政治概況を見ると、何よりもまず、現在のタイは、2014年にプラユット将軍率いる国軍が軍事クーデターを起こし、憲法と議会を廃止し実権掌握以降、軍事独裁政権が継続している点をしっかりと認識しておかなくてはなりません。但し、クーデターと雖も、プミポン前国王下でのクーデターは、「国民からの尊敬の厚いプミポン前国王の意向を踏まえてのクーデター」との見方がなされ、一般的に言われるような、物騒なクーデターというよりも、政治的混沌を鎮めるまでの、文字通り、「繋ぎ」として、一旦、軍部が政権を担うだけであり、「大きな懸念はない」というのが、これまでのタイ内外に於ける評価であったかと思います。(つづく)
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