国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2017-11-13 11:07

トランプ政権内部崩壊か

大井 幸子  SAIL代表
 トランプ政権が発足して以来、各省の長官は決まったものの、その手足となる部下(官僚)のポジションに空白が目立つ。これでは行政組織がスムーズに機能しないとある米国人は困惑していた。例えば、国務省(日本の外務省にあたる)では、ティラーソン国務長官以下の閣僚人事が宙に浮いている中、予算が三分の一カットされてしまい、外交交渉にも支障が出るというのだ。「ロシアゲート」の弾劾が近づくことに加えて、政権発足以来トランプ周辺では要人の多くが次々と交代し、このところは要職にある人たちが公金を私用に使うスキャンダルが多発している。つい先日、プライス厚生長官が高額なプライベートジェット機をチャーターし、税金30万ドルを使ったことで批判され、辞任することになった。

 他にも、新婚のムニューシン財務長官が政府専用機を新婚旅行で使うなど、公金を私的に使用したと批判に晒されている。彼の新妻は女優で、人気テレビドラマではマリー・アントワネットを演じていた。高級ブランド品を身にまとう彼女が自身のゴージャスな新婚旅行をSNSで報じ、これも話題になった。トランプ政権の閣僚のほとんどが上位1%に属する富豪で、自分のお金でプライベートジェットを持てるだけの資産がある。他の99%の国民から見ればトランプ政権が批判を浴びるのは当然である。しかも、トランプ減税を掲げる今、この政策が「金持ち優遇」と批判を浴びるのも必須である。

 フランス革命時には人口の3%を占める貴族が90%の富を独占していた。フランス国王は度重なる戦費で借金が膨らみ、1777年にスイスから銀行家のネッケルを呼び、スイス金融で国家財政を建て直そうとした。ネッケルは大貴族たちの「徴税請負権(国王に金を貸し、国民からその分を徴税できる利権)」を改革し、財政の透明性を確保しようとした。当然、抵抗勢力(大貴族)の大反対にあった。ネッケルは直接市民に訴える手段を取り、国の収支決算を公表し、国庫が空っぽであることを世に知らしめてしまう。この告発で重税に喘ぐ国民の怒りが爆発し、革命の引き金になった。

 米国の格差拡大はフランス革命時よりも大きく、このままでは米国の基本的な価値観(良心の自由、人種の多様性など)や、誰でも頑張れば成功できる「アメリカンドリーム」、失敗しても立ち直れる「セカンドチャンス」までが消えてしまう。そうなると米国経済を成長させてきたポジティブなダイナミズムが失われ、社会は分断されたまま、米国が米国で無くなってしまう。米国の若い世代は危機感を持ち、社会を変えたいと思っている。実際、貧困撲滅をアプリで実践するなど様々な動きを起こしている。現在進行中のAIoTや、プラットフォーム・エコノミー、そしてアプリによる社会変革の流れが、新しい米国を形成していく。スマホを掲げたミレニアル世代の動向を注目したい。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム