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2017-06-02 11:12

交付税特会借入金32.4兆円

緒方 林太郎  衆議院議員(民進党)
 5月30日、総務委員会で久しぶりに質疑に立ちました。お題は地方財政です。国の交付税特別会計には、「地方が償還すべき」借入金が32.4兆円もあります。強調しますが、国の借金ではありません。これは昔、地方交付税の財源が不足した際に、国が特別会計で借入金を行ったものの残りです。この国債による借入金は51兆円くらいまで膨れ上がり、これは耐えられないという事で、今の臨時財政対策債の制度で地方債を立ててもらう制度に変更したという経緯があります。そして、その51兆円を地方2:国1で負担することとして、地方側に34兆円程度が残りました。

 この借入金については、民主党政権時の平成23年に返済計画をしっかりと決める事としました。その計画に基づいてこれまでやってきたわけですが、今年の予算において、2017年から2024年に返済すべき1.8兆円の償還を2050年以降に先送りしています。あまり知られていませんが、これは典型的な借金の将来へのつけ回しなのです。借金返しのための財源を、真水の交付税に変えたという事です。

 平成23年度から辛いながらに返済計画を作ってやってきたのに、ここで事実上のギブアップ宣言に見えてなりません。今後、どの政権であっても、「この件は後ろ回しにしよう」という打ち出の小槌的に差配していく事が出てくるでしょう。返済自体、画餅になっていく事を懸念します。そういう先送りをした理由としては、地方の貯金がなくなった、税収が伸びなかった、そんな所です。「なんだよ、その理由は!」と言いたくなる答弁でした。

 これは何が良くないかというと、財務省的には一般会計は痛まない。総務省と地方自治体は借金を特別会計に押し込んだまま交付税の真水を増やせる、という事で、借金を将来に付け回したくなる環境になっているという事です。もっと言うと、地方はこの32.4兆円を真の意味で自分の借金だと思っていないでしょう。国の特別会計で、国債発行によって成立している以上、そういう意識は高まらないのは当然です。ここは制度改正も含めて検討すべきです。
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