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2007-03-08 10:12

火山灰活用で世界の資源・エネルギー問題を解決せよ

小山清二  特許庁先任審判官
 共同体としてのEU発足の原点には鉄鋼や石炭の共同体があったが、そのような経済統合へのステップとなる共同管理・開発可能な資源・エネルギーが、アジアにはあるだろうか。これがなければ、資源・エネルギー上の自立した経済圏の構築は難しくなっていくのではないかと思われる。EU統合の契機となった鉄鉱石や石炭に相当する天然地下資源がアジアにも存在するのである。この資源とは火山灰である。この火山灰こそは地球上に残された最大の未利用資源である。この火山灰を有効に活用した画期的な技術は、既に政財官学界に、国家プロジェクトとして、提案されて久しいが、日本人の国民性で誰からも理解されていないのは誠に残念である。

 この技術は、火山灰を従来のコンクリートに代わり得る資材として、鉄鋼、樹脂、石材などの代替化を始め、高レベル放射性廃棄物処理から各種産業廃棄物処理へと、製造過程から維持管理過程に至る各過程で使用しようとするものであり、その結果として原油消費量を半減させることができる。また、防水や断熱などの内外装不要の高い強度、断熱、耐火、防水、耐酸、耐アルカリ性に富んだ多機能素材である。この火山灰コンクリートの技術を、国家的プロジェクトとして採用して、広範に展開し実践すれば、原油消費量が半減出来るであろう。そして日本のみならず、世界の資源・エネルギー問題、地球環境問題などを一挙に解決できるだろう。

 ところで、日本では豊富に存在する火山灰であるが、国立・国定公園内での採取を原則的に法律で禁止し、また微粉末の火山灰を工場以外の現場で利用することを公害問題として禁止している。最近の報道によれば、目下中国では、2010年の上海万博開催前の完成を目指して、全長36キロに及ぶ世界第二の海上橋である中国杭州湾大橋を建設しているが、そこでは鉄筋の腐食防止策として火山灰が使用されているようである。この事実を殆どの日本の専門家は知らないようだ。それに、日本の常識では、火山灰は骨材アルカリ反応をもたらし、コンクリートには害悪であるとするのが定説である。

 なお、中国杭州湾大橋の火山灰は一体何処から入手したのか関心があるが、この火山灰は、フイリピンやインドネシアなどの火山国に豊富に存在するのは自明でもあるが、何と中国の黄土高原、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠から中央アジア、中近東の砂漠まで、砂漠の砂は殆どが火山灰である。中国では活動している火山こそ少ないが、黄砂が火山灰であり、それが大量に存在する黄河上流の高原の火山灰は、タクラマカン砂漠、カザフスタン砂漠などからの飛来である。実に火山地帯から偏西風に乗って飛来した火山灰が砂漠の砂として堆積しているのである。

 そして、私が更に提案するのは、この火山灰を生産する火山内部における各種資源の抽出への挑戦である。火山爆発の原理は、マグマ溜まりに存在するウラン等の核分裂反応ということだ。マグマ溜まり内部こそ、天然の原子炉である。それ故に、火山内部のマグマ溜まりを探査すれば、タングステンやモリブデンなどの豊富なレアメタル(希少金属)を発見することができる。既に世界の一部の研究者の間では気付いている者もいるようだが、日本人は無関心であるのが現実だ。実に、海洋系アジアと大陸系アジアの両アジアを結びつける資源こそ、火山灰であり火山である。日本には世界の火山の約1割が存在しており、フィリピンやインドネシアも世界有数の火山国である。この火山内部には、未だ人類が明瞭に気付いていないウランなどの放射性物質や、モリブデン、タングステンなどのレアメタルが豊富に存在している。それというのも、火山の爆発がウラン等の放射性物質の原子核分裂反応によるものであるからだ。

 それ故に、火山内部のマグマ溜まりや、噴火不発に終わった火山の火口内部を探索すれば、豊富なウラン等の地下資源を発見出来るであろうと思われる。日本には海外から購入しなくても充分なウラン資源が存在している可能性がある。火山と火山灰をキーワードにして、海洋系アジアと大陸系アジアが、一つに繋がる可能性があるとも言える。それには日本が大きく変革を遂げることが必須である。まずは、画期的なアイデアを正当に理解し、評価できる国民性への変革が必須だろう。しかし、資源・エネルギー立国への大転換の国家プロジェクトを政府当局に提言しても、何の反応もないのが現状であり、まことに残念である。

 遠くない将来に外国から関心を持たれ、一挙に広まっていくのを期待するものだ。そうでないと、世界は、原油やレアメタルなどの資源・エネルギーの高騰化・枯渇化により、壮絶な争奪戦に向かうのは必至だからだ。これは日本や世界にとっても、実に破局以外の何物でもなく、歴史的な深刻な大問題でもある。どうして気付かないのか不思議である。正に嵐の前の静けさなのだろうか。
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