国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-09-23 17:28

北朝鮮の核開発について

真田 幸光  大学教員
 北朝鮮は国際社会での存在感を維持する上からも核開発を止めません。全世界が核放棄をしていない現状、「何故北朝鮮が核放棄をしなくてはならないのか?」との主張を繰り返し、核保有する米国や中国本土などの国に対して、「核開発の正当化」を続けて主張しています。その上で、北朝鮮自身は、「今回の核実験は核弾頭の威力判定の為の核爆発実験であった」と主張しつつ、小型化、軽量化して弾道ミサイルに装着できる核弾頭の生産が可能になったと豪語しています。もしこれが正しいとすると、これは脅威であり、米国政府も北朝鮮の核開発の状況に懸念を示しています。

 航空機による核爆撃に比べ、核弾頭ミサイルは迎撃が難しいとされており、北朝鮮が核搭載型ミサイルを開発する目的は、正にこうした武力強化を背景にして、米国本土やグァム米軍基地、更には在日米軍基地を核の脅威下に置くことにあるとの見方も出ているのです。こうしたこともあってか、国際社会では、国連が安全保障理事会を開催し、北朝鮮の5回目の核実験を受けた非公開の緊急会合を開きました。極めて由々しき事態です。

 さて、こうした中、その北朝鮮と対峙している韓国政府の企画財政部は、北朝鮮が5回目となる核実験を行ったことに関して、「国内外の金融市場および実体経済に与える影響は大きくない」との認識を示し、内外に動揺が広がらないように配慮する発言を行っています。北朝鮮の核実験を受けて開かれた韓国の緊急の「マクロ経済金融会議」に於いて、こうした見解を示したものであります。私自身も、確かに当面、国際金融市場での動揺は表面的には顕在化しておらず、そうした意味では、「実体経済に与える影響は限定的である」と見ておいてよいであろうと考えています。しかし、北朝鮮は核開発の進展と同時に、潜水艦からのミサイル発射実験成功などの状況を見ると、北朝鮮のミサイル発射能力の向上も具現化しており、そうした意味では、「北朝鮮の潜在的な脅威は増している」とも認識しておくべきであり、その影響をフォローしなくてはならないと考えています。

 そして、そうした軍事面も含めた総合的な視点から見た地政学的リスクの顕在化を阻む上からも、「日米中露と韓国」が連携した、「平和を求める(=窮鼠猫を咬むような形で北朝鮮を追い込みすぎてはいけないという意味)北朝鮮包囲網の構築」は不可欠であり、就中、「米中連携」は重要となると私は考えています。そして、その米中連携を基にして、「上述したような、北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているのではないか」との可能性が指摘されている、「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制する機能を持たないと、「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」を食い止めることは出来ないのではないかと私は危惧しています。そうした意味でも、是非、「米中が真の大国の品格と威信を示し、単なる覇権主義に基づくものではなく、大局的な見地からの国際連携を進化させる」と言うことを具現化してもらいたいと私は期待しています。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム