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2016-09-07 12:31

(連載1)EU崩壊のリスクはまだ終わっていない

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 イギリスBBCニュースは「ドイツのジグマー・ガブリエル副首相が8月28日、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた交渉について、対応を間違えばEUの崩壊につながると警告した」ことを報じた。要は離脱するイギリスに好条件を与えれば、第二、第三の離脱国が生まれかねないということだ。イギリスには厳しい態度でむかい、イギリスがEU離脱を後悔するような状況を作るべきだというのだ。

 だが実際にはこれはかなり難しい。貿易は双方的なものだ。イギリスに対して関税を高くかけることは、EU諸国もイギリスから関税を高くかけられることになる。イギリスは金融大国だ。ロンドンは金融市場の世界拠点の一つでもある。イギリスの金融機関にも打撃だが、それはEU諸国にも打撃になりかねない。イギリスに厳しくあたることは、EU諸国にもダメージがあることになる。それでもEUはイギリスへの冷酷路線を取らざるを得ないかもしれない。ある意味、脱退者へのみせしめだ。

 しかしこれは本質的な議論ではない。第二、第三のEU離脱国が出るかどうかは、イギリスの状況で大きく変わるわけではない。むしろ問題は、EU諸国内部にある。移民・難民問題だ。イギリスがEU脱退したのもEUがメリットがないと思ったわけではない。イギリスの約半数の人はEU脱退に反対したのだ。キャメロン首相をはじめ経済界はかなり強く反対した。イギリスはEUに留まることは経済的なメリット以上に移民・難民の受け入れなどでデメリットが勝ると判断したのだ。

 ヨーロッパではフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、デンマーク、スウェーデンなどで反移民を掲げる政治勢力が台頭している。かつては「極右」といわれたような団体が力ある政党となってきた。状況は大きく変わりつつある。(つづく)
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