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2016-07-19 16:06

(連載1)EU崩壊と新たな欧州自由貿易連合の可能性

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 イギリスがEU離脱を決め、ポンドは急落し、株価は大きく下がっている。イギリスの将来に対して悲観的な見方をする人は多い。イギリスには金融業以外、他国に対して特別に強い産業はなくなっている。EU離脱は金融業にも打撃を与えそうであり、イギリスは厳しい状況に置かれるだろうというのである。

 イギリスはこれから生き残るために、現在のEU自体が早期に崩壊することを望むだろう。つまり、ヨーロッパにEUが存在し、そこから離脱するために、相対的にイギリスが不利になるのである。EUが崩壊し、新たなEU的な枠組みができればイギリスへの打撃は少ない。そして、今、大きな流れはそちらに向かっている。

 反EUの動きは、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、デンマークなどEUの中核国においても育っている。増え続ける移民・難民に対して、新たなナショナリズムが生まれつつある。ヨーロッパはEUができてからは金融バブル的な要素もあり、全体としては安定した運営があった。しかしこれから経済は低迷の時代を迎えそうだ。そうなると自国の労働者と移民・難民とがぶつかり合う機会はさらに増える可能性がある。EU諸国は今、イギリスの離脱決定を受けて、結束を固める会議を行っている。しかしその結束は、内部から崩れる可能性がある。イギリスもキャメロン首相を中心に政府としてはEU残留を強く試みた。しかしイギリスの内部からその方向は変更させられたのである。同様のことが他のEU中核国にもいえる。

 イギリスの決定を受けて、反EUの運動は活気づいている。イギリスのEU離脱はイギリス経済に打撃を与えるだけでなく、EU諸国にも打撃を与える。EUに残ったからといってバラ色の未来の構想は難しい。もし中核国からさらに離脱組が出たら、EUは現在の仕組みを維持することはできなくなる可能性がある。EUの中心の一つであるフランスが離脱したら、EUは機能しなくなるといっていい。おそらくさらに追従する国も出るだろう。イギリスの新たな首相には離脱派を実質的に率いてきた元ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏の名前が浮上している。彼は、EU内の反EUグループに少なくとも精神的には強いメッセージを送り続けるだろう。(つづく)
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