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2016-05-23 14:45

(連載1)ブラジルの政治混乱

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 ブラジルは今、政治的な混乱の中にいます。ただ、おおよその方向性が定まったので、皆、「変化」を待っているという感じになっています。ブラジルの国家会計を粉飾した疑いでルセフ大統領が弾劾裁判を受けるかどうかを決める議案が論議されています。すでに下院で採決され、上院本会議で過半数の賛成があれば、弾劾裁判は開始されます。上院の議席数は81で、すでに賛成議員は40を超えているとみられていて、賛成多数による承認は間違いない状況です。

 ただ、政治権力争いは激しく行われていて、不確定要素があります。下院の議長代行のマラニャン氏が先月に行われた下院の採決は手続きに不備があり、「無効だ」と発表しました。突然の発表です。マラニャン氏は4月の投票では党議拘束に縛られて自由に投票できない議員がいたことを「不備」と言っているようですが、党議拘束があるのは普通のこと。これが理由で投票のやり直しをするというのは考えにくいところです。上院のレナン議長は審議の差し戻しには応じないとしています。しかし、このままマラニャン下院暫定議長が差し戻し要求を続け、レナン上院議長が受け付けないとなると、最終的な判断は最高裁に持ち込まれることになります。予定通りに進まない可能性もあります。また最高裁も政治的圧力があると、かなり無理と思われる差し戻し要求が認められる可能性もあります。そうなればまた時間がかかります。オリンピックまでは弾劾裁判が始まらないようにする戦略かもしれません。

 上院での採決になれば、まず弾劾裁判が始まります。そうなれば、ルセフ氏は最大180日間の停職となり、テメル副大統領が弾劾裁判までは暫定大統領となります。予定通りに進めば、リオオリンピックはテメル暫定大統領のもとで開催されることになります。

 さらに上院で最高裁長官を裁判長とする弾劾法廷が設置され、審理がおこなわれます。上院議員の3分の2以上の賛成(54人)で弾劾が成立します。この場合にはテメル副大統領が2018年まで大統領を務めることになります。(つづく)
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