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2016-03-25 16:59

(連載1)イギリスはEUを離脱するのか

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 イギリスはEUから離脱すべきかどうか。キャメロン英首相は、英国のEU加盟の是非を問う国民投票を6月23日に行う方針を表明しています。イギリスの世論は現在のところやや残留が強いといわれますが、微妙なところ。まだ3ヶ月以上ありますから、経済状況や移民・難民に関する状況次第では、まだまだ予断を許しません。そもそも、イギリスはEUに初めから積極的ではありませんでした。距離を置きながら、慎重にEUメンバーとなっています。イギリスはEU加盟国でありながらユーロ圏に加わっていません。ポンドを維持したままです。また、ヨーロッパ内の国境を廃止し、行き来を自由化するシェンゲン協定にも加盟していません。EU加盟国でありながら、様々な条件をつけて、いわば準加盟国のような立場を貫いてきたのです。

 イギリスがEU脱退を考える理由はいくつかあります。まず第一に、EUに加盟したことによる経済的なメリットをそれほど実感できないということです。これは実際には微妙なところで、脱退したからといって経済的によくなるとも思えません。しかし、国民の中では潜在的な不満があります。イギリスは、単独でイギリス外交をしながら生きてきた国です。EUという集団行動をするのはそうした外交による利益においてはマイナスと考えるのでしょう。

 そして、最近最も重要視されているのが、移民・難民の受け入れです。EUの発想は、人の流れが自由になること。しかし、今、ヨーロッパの多くの国で移民・難民の受け入れを制限したいという動きがあります。イギリスでもこの動きは活発化しています。EUから脱退して、独自の制限を加えたいというのです。

 キャメロン首相は、基本的にEU脱退に反対ですが、国内世論にも耳を傾けなければなりません。そこで、イギリスに特別な地位を与える交渉をしています。(1)イギリスに対して、単一通貨ユーロの適用除外を認めることを再確認、(2)イギリスの求めに応じて規制緩和と競争力強化を約束、(3)イギリスに対してさらなるEUの政治統合にコミットしない“特別の地位”を認めること。EU法制に対する拒否権の加盟国議会への付与、(4)イギリスの社会保障制度を脅かすと判断された場合、EU域内からの移民の流入や福祉給付を制限できる緊急措置の容認。一応の合意ができたものの、EU諸国にはイギリスだけを特別扱いすることに対する反発があります。そこまでしてイギリスにEUに留まってもらわなければならないのか。イギリスのEU残留が決まっても、こうした条件においては、揉めそうです。(つづく)
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